MSが買収したスパイウェア対策ソフトに法的疑問

MSが買収を発表したGIANTのスパイウェア対策技術について、所有権を部分的に持つSunbeltがクレームをつけている。(IDG)

» 2004年12月17日 10時12分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Microsoftがスパイウェア対策ソフトメーカーのGIANT Company Softwareを買収したと発表したが、この買収によってMicrosoftが手に入れたスパム対策技術の所有権をめぐって、発表早々、疑問が持ち上がっている。

 Microsoftは、GIANTのソフト「AntiSpyware」の所有権が、部分的にSunbelt Softwareにあることを認めている。Microsoftは、GIANTとSunbeltの合意は、MicrosoftがGIANTのコードを基に新製品を開発することを妨げるものではないと説明している。しかし、Sunbeltのアレックス・エッケルベリー社長は、AntiSpywareのSDK提供の権利を含め、この技術の構成要素に関してSunbeltが独占権を持っていると主張している。もしそうであれば、MicrosoftがGIANTの技術をほかの製品に統合するのが難しくなる。

 Microsoftは12月16日、Sunbeltのクレームの一部に対し、次のような短いコメントを出した。「当社は、GIANTのスパイウェア対策ソフト製品の初期のバージョンについて、GIANTがSunbeltに対し、共同所有権を認めたことを理解している。しかし、この権利認定は、関係者のどちらかが初期のバージョンを基に新製品を生み出すことを禁じるものではない」

 エッケルベリー氏によると、SunbeltとGIANTは2002年から親密な関係にあった。Sunbeltは、GIANTのスパム対策製品「Spam Inspector」を「iHateSpam」という製品名で販売。またSunbeltは9月まで、GIANTのAntiSpywareエンジンを使って「CounterSpy」という製品を販売していた。しかし、Sunbeltが企業スパイウェア対策市場にフォーカスし、GIANTはホームPCユーザー向けのスパイウェア対策ソフトに注力していたため、両社は9月以降、別の道を歩むことになったとエッケルベリー氏は説明する。

 しかしそれでも、SunbeltはAntiSpyware製品に関連した9月20日までのすべてについて、共同所有権を主張している。エッケルベリー氏によると、その対象には「ユーザーインタフェースエレメント、エクスプローラツール、ソフト更新サービス」が含まれる。

 GIANTとSunbeltの共同所有権契約では、Microsoftが自社のニーズに合わせてGIANT製品に変更を加えることを妨げていない。だがSunbeltがAntiSpywareエンジン用のSDKを開発・配布する独占権を持っていることから、Microsoftは、例えばSymantecなどのサードパーティー企業にGIANTのデータへのアクセスを許す前に、Sunbeltから許可を得る必要がありそうだ。

 エッケルベリー氏は、Microsoftは恐らくSunbeltに対するGIANTの義務に気付いているが、気に掛けていないか、もしくは契約上の複雑さを無視していいほどGIANTの技術に魅力を感じたのだろう、と語っている。

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