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» 2005年02月01日 09時00分 UPDATE

「性悪説」による機密・個人情報漏えい対策 第1部PART2 情報はなぜ漏えいするのか? (1/4)

個人情報流出、あるいは個人情報漏えいというキーワードがクローズアップされる一方で、そうした情報がどのように利用されているかについてはあまりスポットライトが当たっていない。そうした情報を利用する側の目線で考えてみることにしよう。

[新井悠(ラック コンピュータセキュリティ研究所),N+I NETWORK Guide]

N+I NETWORK Guide 7月号(2004年)より転載しています

個人情報は常に漏えいしている

 最近、テレビや新聞・雑誌に、「個人情報流出」や「個人情報漏えい」といったキーワードが躍る。すでに、「ああ、またか」という感覚になっているのではないだろうか。

 個人情報流出、あるいは個人情報漏えいというキーワードがクローズアップされる一方で、そうした情報がどのように利用されているかについてはあまりスポットライトが当たっていない。だからこそ「ああ、またか」という感覚を抱きがちになってしまうのだろう。そこでまずは、そうした情報を利用する側の目線で考えてみることにしよう。

 新入学、新入社、あるいは結婚といったイベントを迎えた人々に対して、ダイレクトメールが送られてくる。このように、そのとき必要としているモノの消費を促すことは、少しでも商品を購入してほしいと願う企業にとって選択肢の1つであることは間違いない。

 誰しも、見知らぬ企業からのダイレクトメールを受け取ったことがあるはずだ。また、よくわからない相手(企業)から勧誘の電話がかかってきたこともあるだろう。しかも、「今、大学生の方を対象にアンケートを……」と、なぜか自分の状態を知っていたりする。

 ただ、どちらかというと迷惑感のほうが大きいため、「電話帳に自分の電話番号と住所を載せた覚えはないのに……それに職業まで……」という不安を感じるに至ることはあまりないかもしれない。そんな薄れがちな不安感は、違った形となることで現実味を帯びてくるのだろう。たとえば、次のような話である。

「架空請求」で利用されたもの

 2002年7月、東京在住の男が、福島県警と北海道警の合同捜査本部によって逮捕された。架空のダイヤルQ2の請求書を送りつけ、指定の銀行口座に入金させることで現金をだまし取ったという容疑である。こんなニュースを、新聞やテレビで見かけたことがあるかもしれない。しかし、この架空請求事件には注目すべき点がある。それは、都内の業者から購入した名簿を利用していたことだ。

 このような事例はほかにもある。そうした架空請求の被害は増加しており、実際に逮捕者も出ている。

 警視庁麹町署は今年4月20日、詐欺容疑で東京都の女性を逮捕した。この女性は、Yahoo! BBやNTTを装って架空の料金請求書を送付して、現金をだまし取っていたという。「Yahoo!サイト管理株式会社」の名目で私書箱を設置するという手の込みようである。この事件においても、送付先にはやはり名簿が利用されている。インターネット上に存在する業者から、女性ばかり600人分の名前、住所、携帯電話番号が記載された名簿を5万円で購入し、悪用したという。

 繰り返しになるかもしれないが、個人情報は一般的にマーケティングに利用されている。広告媒体を選定し、プロモーション活動を行うことは、マーケティングの定石である。その一方で、犯罪者が標的を選定するためにも利用されているのだ。

 それでは、こうして悪用されてしまう可能性のある名前、住所、電話番号に代表されるような個人情報は、どのようにして売却されるのだろうか。

需要と供給があるところに「市場」が生まれる

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