SAPが顧客獲得の武器として新プラットフォームを計画NetWeaver後の新アプローチ(1/3 ページ)

OracleのPeopleSoft買収が成立した今、SAPはPeopleSoftから顧客を奪うために実施してきたプランをさらに進め、新しいアプリケーションプラットフォームの投入で勝負に出る。(IDG)

» 2005年02月01日 20時14分 公開
[IDG Japan]
IDG

 SAPはこれまで1年半にわたり、PeopleSoftの顧客を奪うために魅力的なメンテナンス/ライセンスプランを提示してきた。OracleがPeopleSoftを買収した今、SAPはこの顧客争奪戦に新たな武器を投入しようとしている。その武器とは新技術だ。

 SAPは2007年までに、自社のすべてのアプリケーションを新しいプラットフォームに移行させる計画だ。この新プラットフォームは、同社の統合プラットフォーム「NetWeaver」をベースとする。SAPではこの新技術を「Business Process Platform」というシンプルな名前で呼んでいるが、同社のヘニング・カガーマンCEOによれば、このプラットフォームは、1900年代初頭の自動車産業の工業化に匹敵する「ソフトウェア産業の工業化」につながる技術だという。

 IDG News Serviceでは、1月26日にドイツのフランクフルトで行われたSAPの四半期決算の発表後に、同社の新技術ならび競争環境の変化についてカガーマン氏に話を聞いた。

――SAPがNetWeaverを投入したのは2年前ですが、顧客は既にこの技術を理解しているのですか?

カガーマン NetWeaverは統合プラットフォームです。顧客のレガシーシステムを容易にSAPの技術に連携できるようにするために、多数の技術ツールをこのプラットフォームに統合しました。当社のフラッグシップ製品であるmySAP ERPは、既にNetWeaver上で動作するようになっています。今年中には、mySAP Business Suiteのすべてのアプリケーションを同プラットフォームに対応させる予定です。

 NetWeaver投入の背景にはアーキテクチャの根本的な変更があります。われわれはこれをエンタープライズサービスアーキテクチャ、あるいは業界用語にもなっていますが、サービス指向アーキテクチャと呼んでいます。このアーキテクチャの狙いは、当社の技術に組み込まれた機能に外部からアクセスできるようにすることにあります。その意味では、NetWeaverはサービスを組み立てる土台となるプラットフォームだと言えるでしょう。

――NetWeaver導入のプロセスがまだ進行中なのに、その後継技術となるBusiness Process Platformの話が既に出ていますが、プラットフォームを変更する理由は何ですか。

カガーマン NetWeaverで終わりにしてもよかったのですが、顧客がより迅速に新しいビジネスモデルに適応したい、あるいはより斬新な方法でビジネスソフトウェアを利用したいと考えた場合、新しいサービスを迅速かつ柔軟に構築できることが必要になります。われわれはこれを実現するために、SAPの技術の中で汎用性の高い機能、たとえばコンポーネント、あるいは課金業務といったビジネスオブジェクトやプロセスをアプリケーションプラットフォームに載せようとしているのです。

 これにより、企業が新しいアドオンアプリケーションを開発しようとする場合、オープンなインタフェースを通じてCRM(カスタマーリレーションシップ管理)やSCM(サプライチェーンマネジメント)などの機能にアクセスできるようになるのです。

 要するにわれわれは、アプリケーションレベルで再利用可能なプロセスを開発し、それらをNetWeaverと組み合わせたいと考えているのです。これが新しいBusiness Process Platformの狙いです。つまり、すぐに実行可能なプロセスを動作させる機能を追加することによって、NetWeaverを進化させたものがBusiness Process Platformなのです。

――SAPの新しいビジネスアプリケーションは、競争力を高めようとする企業の間で普及が進むだろうという話をされていましたが、これはつまり、顧客がCRMやSCMといったアプリケーションを独自に開発してSAPのプラットフォーム上で動作させるか、作成済みのアプリケーションをSAPから購入するかという選択肢を顧客に提供するという意味ですか?

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