「PDF越え」を目論むライブドア出資のビュワー新製品

ソフトウェアベンチャー企業のファイブデジスターはオンラインカタログなどを作成するためのソフトウェアパッケージ「ActionBrowser Standard版」を発表した

» 2005年02月02日 23時12分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 ソフトウェアベンチャー企業のファイブデジスターは2月1日、都内で記者発表会を行い、新聞や雑誌メディアなどの紙データを電子データとして取り込み、編集し、オンラインカタログなどを作成するためのソフトウェアパッケージ「ActionBrowser Standard版」を発表した。同日から販売を開始する。

 同社には、ライブドアおよびネットエイジが出資しており、ライブドアの堀江貴文社長、ネットエイジの西川潔社長も発表会に出席し、「ActionBrowserがPDFに並ぶビュワーになり得る」と期待を寄せた。

 堀江氏は、「PDFはもともと印刷をするために開発されたもの。それが、いつのまにか、印刷より単に閲覧するために利用することが多くなってきた。ファイルが重く、開くまでに20秒、PCが非力だと1分かかることもある」と、PDF利用の現状についてコメント。

 こうした点に着目し、Windows向けの総合電子出版ソフトウェア、ActionBrowserに出資した。同製品は、オンラインカタログなどを作成するオーサリングツールと併せ、Web上の雑誌記事などのコンテンツを、オンライン上で「めくる」感覚で読めるようにしたビュワーをパッケージ化している。

 フラッシュベースの同製品は、拡大縮小は2段階ほどしかできないが、機能を削ぎ落とした結果として、閲覧が非常に高速であることが特徴になっている。印刷を行わず、インターネット上でカタログを見るといった用途では、PDFよりも使い勝手がいいという。

 堀江氏は、ライブドアとして同製品への投資を決意した理由として、「ActionBrowserが普及すればPDFの用途の90%はいらなくなると確信した」ことを挙げた。同社のWebサイトもActionBrowserで見られるようになっている。

 一方、西川氏は、2003年夏にファイブデジスターの京保雄一社長と知り合い、製品が優れていたことと、「ActionBrowserで世界に出る」という京保氏の意気込みに共感したという。その結果、ライブドアを紹介するなどの形で、ファイブデジスターを支援するようになったとエピソードを話している。

 この日行われたデモンストレーションでは、ActionBrowserを利用した際に、ユーザーが閲覧したページなどのデータをサーバが管理できる機能が紹介された。そうしたデータを分析することにより、ユーザーの嗜好を把握し、マーケティング活動に生かすといった用途にも利用できるとしている。

 「100億円市場とも言われる電子書籍市場も、日本ではコンテンツをダウンロードする形式で発展しているのが現状。ActionBrowserが活躍するのはオンラインの状態でコンテンツを見せるケース」と京保氏。韓国では現状でも普及しており、同製品の開発も韓国の技術者が深くかかわっている。また、中国、インドなどの技術者も参加する同製品が、既に「国際感覚」を持っていると同社はアピールしている。

 価格は、1ライセンス月額3万6750円から。主に、Web製作、広告代理店などの法人を対象に販売し、社内報などの社内文書の共有、オンラインショップのカタログ配信機能、初演や出版社の商品プレビューなどの用途を想定している。

「“アドビシステムズ”がもう1つできればうれしい」と話す堀江氏。

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