ITのグローバル化に必要なのは「融合文化」

グローバル化のルールとは? 大企業のCIOが言葉のニュアンスの違いなど、見落とされがちなチェックポイントを指摘。(IDG)

» 2005年03月11日 16時39分 公開
[IDG Japan]
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 世界中で事業展開する大企業でIT部門を率いているリーダーらによると、ITのグローバル化に成功する鍵は、あらゆる国の社員・ビジネスパートナーのニーズと期待を理解し、それに対応できるスタッフを育てることにある。

 Capgeminiの副社長兼主任技術者のジョン・パーキンソン氏によれば、こうした企業に必要なのは、「誰もが誰とでも働ける」ような「融合文化」だという。

 パーキンソン氏は3月8日、米アリゾナ州スコッツデールでComputerworld誌が開催したPremier 100 IT Leaders Conferenceのパネル討論会にパネリストとして参加した1人。同カンファレンスは、明文化したものとそうでないものを含めたグローバル化のルールに焦点を当てたもの。

 Franklin Templeton Investmentsでは、グローバルな職場関係を築くということは、社員を出張させ、遠隔地の同僚に会う機会を与えることだと、同社でグローバル顧客技術担当ディレクターを務めるサンディープ・バティア氏は言う。出張と交流は、社員がビジネスプロセスを理解し、同僚に対する理解を深める助けとなる。

 「現地に滞在して互いに理解し合わなければ、それは実現しない」(バティア氏)

 例えば、電話会議の予定を組むのに現地時間を知っているかどうかといった、小さなことが大きな違いを生む場合があるとFedEx Servicesの至急便・航空便ソリューション担当上級副社長、シェリー・アーホルム氏は指摘する。「歩み寄り、そうした違いを認識すること」が、グローバルな組織として行動するというメッセージになるのだと同氏。

 グローバルな企業になるということはまた、どんな国に進出するときでも、リスクと人的資源を把握することだとJuniper Networksの最高情報責任者(CIO)、キム・パーディクー氏は言う。「われわれの最終目標は、世界中の主要な人材を活用できるようになることだ」

 グローバル化のもう1つの側面として、法規制への対応という問題があるが、アーホルム氏によると、特定の状況ではソフトを2カ国語で提供することが義務付けられるカナダ・ケベック州のケースのような地域ごとの問題には、人事と法務のスタッフの協力が助けになるという。

 パネリストらによると、法規制の問題はビジネスコストの増加をもたらす可能性があるが、地域の風習・習慣の違いは、大混乱を引き起こす可能性がある。米国では、人は「思った通りに発言する」が、アジア太平洋地域では、「いいえ」に幾つか別の意味があるとFranklin Templeton Investmentsのバティア氏。

 「世界は小さな地雷原でいっぱいだ」とパーキンソン氏は言う。同氏は、例えばある文化では、紹介されていない相手に話し掛けるのは失礼なことになるとし、「ビジネスに取り掛かる前に、こうした微妙な違いのすべてを学んでおく必要がある」と言い添えた。

 理解することは双方にとって役立つ。外国のビジネスパートナーは、例えば米企業改革法の財務会計開示ルールなど、米国の法規制への知識を深めており、米企業の法規制遵守に協力的になっているとHewlett-Packardの北南米IT担当副社長、サウム・マスール氏は指摘する。またSAPなどから、各国固有のルールに合わせたシステムが提供されていると同氏。

 これとは別だが似たテーマの討論の中で、世界172カ所に製造拠点を持つ自動車部品メーカーDelphiの副社長兼CIO、ベット・ウォーカーは、自社ITサービスの共有サービスモデルへの移行について語った。これは同社が、ITとビジネスの戦略的連係が必要と感じたための動きだという。

 かつては11人もCIOがいた同社だが、中央でのプランニングと共通の標準・モデルを軸に、1つのマネジメント中枢を築いた。ウォーカー氏は、「ノウハウが本当にうまく活用されている」と語った。

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