新シリーズ「Nokia VPN」でセキュリティとモビリティの両立を図るNokia

Nokiaのシニア プロダクト マーケティング マネージャを務めるカーラ・スタニズラフジク氏が、新たなセキュリティ製品群「Nokia VPN」について語った。

» 2005年03月19日 11時48分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 目前に迫った個人情報保護法の全面施行を前に、個人情報や機密情報の持ち出し禁止はもちろん、自宅や外出先から企業システムへのリモートアクセスの制限まで検討する企業もあるという。

 「確かに個人情報保護法は妥当なもの」であり、セキュリティは企業にとって必須の要件だと述べるのは、Nokiaのエンタープライズ・ソリューションズのシニア プロダクト マーケティング マネージャを務めるカーラ・スタニズラフジク氏だ。しかしながら一方で、モビリティとの両立を図るべきではないかとも言う。

 「すべてをがちがちに固めてしまうのではなく、モビリティを享受できるようバランスを取っていくべきではないか。『セキュリティ』と『モバイル化されたビジネス』の2つのバランスを取れるよう適切な技術を選択し、組み合わせていくべき」(スタニラズラフジク氏)。

スタニラズラフジク氏 「バランスが大事」とたびたび強調したスタニラズラフジク氏

 同氏によると、Nokiaのセキュリティ製品が目指すところはまさにそこにあるという。Nokiaはこれまで、チェック・ポイントのソフトウェアを組み合わせたファイアウォール/IPSec VPNゲートウェイの「Nokia IPシリーズ」やSSL VPN製品「Nokia Secure Acceess System」といった企業向けセキュリティ製品群を展開してきた。

 これに加わるのが、ビジネス・モビリティの実現を念頭においたIPSec VPNゲートウェイ「Nokia VPN」だ。既に、小〜中規模のネットワークをターゲットにした4モデルが発表済みだが、そう遠くない時期にギガビットクラスのパフォーマンスを実現するフラグシップモデル「Nokia 500i」をリリースする計画だ。

 また4月には、Windows端末向けのIPSecクライアントソフトをリリースする予定という。ただ、Symbian OSおよびVPNクライアントを搭載した携帯端末「Nokia 9500 Communicator」などのリリースは未定ということだ。

 Nokiaではこれらの製品を通じて、「端末からネットワークにいたるまでエンドツーエンドのセキュリティバックボーンを提供し、モバイル化されたビジネスを実現する」(スタニラズラフジク氏)という。

 「企業がモバイルアプリケーションを展開できるようなバックボーンを提供し、どこにいようと、どこからでもセキュリティを確保した形で情報にアクセスできる環境を整える」(スタニラズラフジク氏)。

ダイナミックな分散環境に対応

 ビジネスを妨げない形でセキュリティを確保するための機能の1つに、Nokia VPNゲートウェイが実装する「Meta-Hop機能」がある。

 これまでIPSecでVPNネットワークを構築する場合、ポイントツーポイント/ハブ&スポーク型の静的な構成をとらざるを得なかった。しかし、現実には企業ネットワークといえどもさまざまに変化し、拡張している。そうしたダイナミックな分散環境にIPSec VPNを適合させるため、業界各社が知恵を絞るようになってきた。

 NokiaのMeta-Hopも、そうした技術の1つだ。これを活用すれば、ダイナミックルーティングプロトコル上でIPSec VPNを実現し、ニーズに応じてフルメッシュ型のVPNネットワークを柔軟に構成できる。さまざまな拠点に分散しているアプリケーションへのアクセス性が高まるだけでなく、万一どこかに障害が発生したときのアベイラビリティ確保にもつながるという。

 しかも、新たなネットワークを追加する際、既存の各ゲートウェイの設定を手動で変更する必要はない。ルーティング情報を自動的にやり取りする「セルフ・ラーニング」機能を備えているためだ。VPN網の拡張を行うたびに管理者が地方拠点に足を運び、設定を変更して回る、といったことは不要になる。

 これにより、ユーザーには「必要なときにはいつでも必要な情報にアクセスできる」という環境を提供するとともに、管理者側では負担とコストを削減するという、2つの要件をバランスよく実現できるとした。

 今後は「VPNという安全なバックボーンを提供しつつ、新たなタイプのアプリケーションへの対応も図っていく。具体的にはVoIPやIPv6といった技術に対応させていきたい」(スタニズラフジク氏)。

 「とにかく大事なのはバランス。Nokiaは今後も柔軟さと、ITシステムに対する管理やコントロールの両立を図り、バランスを取ることができる真のソリューションを提供していく」(同氏)。

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