グループウェア導入を成功させるGroupBoard ワークスペース

現在ではグループウェアのソリューションとして、すでにさまざまな製品が登場している。その中の一つであるマイクロソフトの「Microsoft GroupBoard ワークスペース」は、日々の業務フローを変えることなく導入できるという利点を備えている。その開発思想や盛り込まれた機能、使い勝手の点に迫ってみる。

» 2005年03月22日 19時23分 公開
[井上健語(ジャムハウス),ITmedia]

 ここ数年で企業へのグループウェア製品の導入が一巡してきている。しかし前回で述べたが、日々流動的に変化する業務フローをグループウェアに合わせるという本末転倒型導入が主流になっているようだ。ユーザーは自分(の業務)に合うものを「自分に馴染ませて」使っていきたいと考え始めている。

 このユーザーの変化を鋭く感じ取り、開発にいち早く反映させた製品がマイクロソフトの提供する「Microsoft GroupBoard ワークスペース」である。この製品をより深く知るために、マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 製品マーケティンググループ プロダクトマネージャの西岡 奈穂子氏に、その魅力について語ってもらった。

マイクロソフトが提案するオフィスワーク効率化ツール

ITmedia まず、グループボードという製品の全体像について、教えていただけますか。

西岡 一言でいうと日本のOfficeユーザーのためのグループウェア&イントラネットです。また、弊社の製品は米国本社で開発されていますが、グループボードは日本オリジナル製品で、国内の開発チームによって開発された点が特徴です。

ITmedia マイクロソフト製品でも日本で開発されたものがあるのですね。それには、何か理由があるのですか?

西岡 日本と米国では業務のスタイルが異なります。例えば米国のオフィスでは、一人に一部屋が与えられ、それぞれの個人に電話番号が与えられるケースが多く見受けられ、日本のように他人の電話を取って伝言を伝えるという習慣はありません。ホワイトボードで出欠や外出先を管理するという習慣も、あまり見られないようです。

 ExcelやWordなどのアプリケーションは、毎日使う人、あるいは一週間に数回しか使わない人などさまざまですが、グループウェアはチームの共同作業スペースになるので「毎日使うもの」です。したがって、グループウェアであるグループボードは、ワールドワイドな製品として開発するよりも、その国の仕事のスタイルに合わせた業務密着型にすることが大切だと考えました。

ITmedia ということは、開発にあたっては日本の仕事のスタイルをかなり調査・研究されたのでしょうか。

西岡 はい。開発にあたっては、徹底的な調査を行いました。具体的には、日本のユーザー様に集まっていただき、そこで頂いたご意見やアドバイスを製品に反映しています。特に注意したのは、「クリック数を最小限に抑えること」「直感的な操作性」「日本の業務スタイルにとけ込める設計にすること」です。さらに、Officeユーザーのために、WordやExcelなどのOffice製品と操作感を統一させることも最優先で開発されています。

GroupBoard ワークスペースのトップページ。GroupBoard ワークスペースはブラウザを使って利用する

すべてのオフィスですぐに活用できる機能とOffice連携

ITmedia グループボードの具体的な機能や特徴を教えてください。

西岡 「スケジュール調整」「設備(会議室やプロジェクタなど)の予約」「回覧板」「電話メモ」「文書共有」など、いわゆる一般的なグループウェアの機能はすべて装備しています。他社製品と大きく異なるのは、これらの機能すべてにOffice連携機能があらかじめ組み込まれていることですね。

 実際、私もOffice製品のプロダクトマーケティングを担当しているのですが、グループボードという製品には、Officeの製品開発やマーケティングを担当する人間が多数携わっています。そうすることで、Officeユーザーにとっての使いやすさを最優先に開発できたと思います。このことが他社製品にはない大きな強みだと考えております。

行き先掲示板。社員の出欠、外出先、帰社時間などをすぐに確認できる
電話メモの入力画面
GroupBoard ワークスペースのスケジュールとOutlookの予定を並べて確認できる。ドラッグするだけで予定情報をコピーすることも可能

ITmedia グループボードの導入メリットについてはいかがですか?

西岡 グループウェアは日々使うものです。ですから、社員それぞれが「使わなきゃ……」「面倒だな」と思いながら使うようでは困ります。グループウェアがストレスになるようではダメなのです。グループボードは、社員それぞれが、それほど情報共有を意識することなく「無意識に、というのは言い過ぎかもしれませんが(笑)、毎日使うよう促す」ために、工夫された設計となっています。

 例えば、「新着情報と今日のTo Do」では今日の予定や仕事内容、電話メモなどすぐに確認すべき情報が一覧で表示され、一目で把握できます。いちいちクリックして何かを開く必要はありませんから、一目でパッと全体を把握することができます。

 あるいは、Word文書を作成し、保存ボタンを押すと、グループボードが保存先を「促して」くれます。グループボードの誘導にしたがって操作すれば、あとはグループボードがその文書を適切な場所に保存してくれるので、他の社員との文書共有も自然に実現できるのです。

ITmedia しかし文書共有は、通常のファイルサーバでもできませんか?

西岡 そうですね。現状、文章の共有はファイルサーバで実現している企業が多いと思います。しかし、これだとファイルの管理が大変です。誰が、いつ、どんなファイルを保存したのか分かりませんし、間違ってファイルを上書きしたり削除してしまうトラブルもあるでしょう。グループボードなら、ファイル名、更新日時、更新者などの情報を簡単に確認できますし、チェックイン/チェックアウト機能が用意されていますから、ファイルが誤って上書きされるトラブルを避けることができます。「作成者別」「種別」などの表示項目を簡単に追加することもできますので、必要なファイルも素早く見つけられます。

WordやExcelからグループボードの共有ドキュメントにファイルを直接保存することもできる

柔軟なカスタマイズ性で業務の変化にも対応

ITmedia 業務は日々変わってくものだと思いますが、カスタマイズ性についてはどうですか?

西岡 例えば、担当者別に日々の案件進捗を管理する必要が出たとしましょう。日々更新する情報ですので、グループボード上で更新するのがベストです。グループボードなら、あらかじめ用意されているWebパーツから、ExcelとAccessによる集計機能を持つWebパーツを選択し、管理項目を登録するだけで準備完了です。あとは、グループボードのウィザードにしたがってクリックしていくだけで、10分もかからずに新しいWebパーツを作成できます。慣れると本当に簡単に作成できます。

 また、ブラウザ画面の表示も、ドラッグ操作だけで好みの形にレイアウトできます。グループボードの画面を見ると、プロっぽいサイトに見えませんか? でも、実はコーディングなどの専門的な作業は一切必要なく、現場レベルで簡単にカスタマイズできてしまうのです。

 このあたりはぜひ実際に触っていただきたいですね、言葉では表現しきれませんから。マイクロソフトのGroupBoard ワークスペースのサイトからは、評価版のダウンロードも可能です。

Webパーツを利用してページを自由にカスタマイズできる。画面は、無料でダウンロードできる「日めくりカレンダー」と「電卓」を追加した例

 グループボードはWindows Server 2003環境を必須とするため、ライバルとなるサイボウズと比較したとき、導入の敷居は若干高いかもしれない。しかし、グループボードの使い勝手の良さ、特にOffice連携機能とカスタマイズ性はサイボウズにはない大きな魅力である。ASPによるサービスも行われているため、一度試してみる価値はあるだろう。

 次回は、グループボードの詳細機能と、実際のオフィスでの使用感を取材事例をもとにチェックする予定である。

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