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» 2005年03月25日 15時03分 UPDATE

オープンソースソフトは時限爆弾――MS出資のシンクタンクが批判

Linuxの生みの親は本当にトーバルズ氏なのかと問う報告書で物議を醸したシンクタンクが、オープンソースの法的リスクを指摘する報告書を作成した。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 オープンソースソフトは訴訟の洪水をもたらす法的な時限爆弾かもしれない――シンクタンクAlexis de Tocqueville Institution(AdTI)は新たな調査報告の中でこう述べている。

 この報告書は、2002年と2004年に物議を醸したAdTIの調査に続くもの。同社のケネス・ブラウン社長はこれらの調査報告書の中で、オープンソース開発モデルに関するセキュリティの懸念を取り上げ、リーナス・トーバルズ氏は本当にLinuxカーネルを発明したのかと異議を唱えた

 AdTIを批判する向きは、同社の資金援助者の中にMicrosoftが含まれている点を指摘している。AdTIとMicrosoftはこの事実を認めているが、AdTIは特定の報告書に対する資金援助について明かすことは避けた。MicrosoftはAmerican Enterprise Institute、Center for Strategic and International Studies、Heritage Foundation、Cato Instituteなど複数のシンクタンクに資金提供している。

 資金源に関係なく、AdTIは公然とオープンソースソフトに対する批判的なスタンスを示している。同社はWebサイトにこのトピック専門の新しいセクションを設け、その中でオープンソースソフトを「open sores software」(soreは「苦痛の種」の意味)、「ハイブリッドソースソフト」と呼んでいる。

 今回の新たな調査報告書「Intellectual Property - Left?」は、執筆者のブラウン氏が「オープンソース開発モデルを取り巻く厄介な多数の法的問題」と考えるものをテーマとしており、同氏はこの問題によってオープンソースが標準的な知的財産法と衝突することは必至だと主張している。この調査結果は間もなく公開される予定だとブラウン氏はTechworldに語った。

 知財法との対立は自明だというのがブラウン氏の主張だ。「大体のオープンソースソフト開発をちょっと見ただけで、オープンソースの慣行の多くが、知財保護に関連するベストプラクティスと直接衝突することはすぐに明白になる。意図的に、そして無意識に、ユーザー、開発者、ディストリビューターは従来の謹厳な知的財産法と対立している」と同氏。同氏は対立を生む可能性がある要素として「ライセンス、帰属、匿名性、派生物、補償」を挙げている。

 同氏は、多くのオープンソース貢献者が大手IT企業に勤めているのは「興味深い」としている。「日々、雇用・発明・知的財産に関する契約の恩恵を受けている数え切れないほどの社員が、空き時間に(そして就業時間中にも)アイデア、コード、製品を自由にオープンソースプロジェクトに捧げている」と同氏は記している。このことは、寄贈されたものの法的な所有権をめぐる疑問を生み、「不満を持つ社員」が企業秘密をオープンソースプロジェクトに寄贈して暴露する可能性をもたらすと報告書には書かれている。

 最も厄介なのは、オープンソースプロジェクトをめぐる訴訟がないことだと同氏は言う。「確かに何の侵害もないとは考えられない(数学的にあり得ない)。このため、われわれはこれまでの侵害がおおむね『通行許可』を得たと結論づけた」。オープンソースに関係する人たちは、いつ訴訟が起きるのか、何が引き金になるのか自問しなくてはならないと同氏は主張する。

 訴訟を起こす可能性のある企業は、オープンソースソフトの人気が高いこと、またいじめっ子のように思われたくないことからこれまで黙ってきたとブラウン氏。同氏によると、オープンソースはメディアの中で崇拝され、小国や貧しい国が欧米と張り合えるようになる手段として、「解放の技術」と賞賛されてきた。Open Source Development Labs(OSDL)のCEO(最高経営責任者)スチュアート・コーエン氏などのオープンソース支持者は「侵害の問題に対して、大胆に厚かましく異を唱えている」と同氏は主張する。

 こうしたIT業界メディアやディスカッションサイトの圧力を受け、多くの知財所有者が「メディアなどでの非難」を恐れて沈黙している」とブラウン氏。

 だが、そのような沈黙は続かないだろうと同氏は主張する。同氏は、音楽業界が思い切ってP2Pユーザーを訴え、Appleが反発を受けるリスクを冒してWebジャーナリストを訴えたように、メディアの批判に立ち向かうことさえできれば、知財保有者は行動を起こすだろうと話す。「パブリックドメインソフトによる侵害を訴えることは、10代の少年を音楽の違法ダウンロードで訴えたり、企業秘密の不正漏えいの疑いで取材源の開示を要求するのと同じくらい危険だと考えていいだろう」

 最初の大きな訴訟が起これば、ブラウン氏が言うところの「パブリックドメインソフト」に対する訴訟がせきを切ったように起こる可能性がある。「オープンソースのユーザー、ディストリビューター、開発者に下されるほぼすべての判決が、パブリックドメインソフトの環境を大きく変える可能性のある判例となるだろう」と同氏は述べ、どんな判例でも「同様の模倣的な訴訟の氾らんへの道を開く」可能性があるとしている。

 オープンソースの起源を探ることにより、法の黙示録が起きる可能性が高いということは誰にでも分かるとブラウン氏は主張する。「オープンソースの起源は、標準的な知的財産のルールから逸脱する動きから生まれたモデルだ。従って、オープンソースの成長がそのルーツに沿っているのならば、プロプライエタリな企業や知財保有者との間で近々対立が起きる可能性は高い」

 ブラウン氏は2004年の報告書で、Linuxの原点という名誉はアンドリュー・タネンバウム氏が開発した「Minix」などのプロジェクトに与えられるべきだと主張している。この報告書はタネンバウム氏自身を含め、各方面から批判された。タネンバウム氏は当時Webへの投稿で、「ケン・ブラウン氏は自分が取り上げているものが分かっていない、というのが私の結論だ」と述べていた。

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