「総合的なセキュリティベンダーを目指す」、日本ベリサインに新社長就任

日本ベリサインの代表取締役社長兼CEOに、これまで取締役副社長兼COOを務めてきた橋本晃秀氏が就任。総合的なセキュリティベンダーを目指すと意気込みを語った。

» 2005年03月25日 17時57分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 3月25日、日本ベリサインの代表取締役社長兼CEOに、橋本晃秀氏が就任した。同氏はこの日行われた記者発表会の席で、「今年から来年にかけて、総合的セキュリティベンダーへと大きく飛躍していきたい」と意気込みを語った。

 同社はこれまで、SSL通信に必要となるサーバ証明書の発行サービス「ベリサイン サーバID」や、電子証明書を発行する認証局の構築サービス「ベリサイン マネージドPKIサービス」を中心に事業を展開してきた。いわゆるPKIや電子認証といったエリアだ。

 今後はそれらのビジネスに加え、「企業向けのマネージドセキュリティサービスや、プライバシーマーク取得や情報漏えい対策を支援するコンサルティングサービスを展開していく」(橋本氏)。

 中長期的には、その先に控えるであろうITと放送の融合をにらみ、DNSやRFID、デジタルコンテンツなどさまざまな側面に取り組みを広げ、「インテリジェントかつセキュアなインフラの実現を支えていく」(同氏)という。

橋本氏 総合的なセキュリティ企業を目指すと述べた新社長の橋本氏。ただし、先日発生したPC盗難事件への言及はなかった

 今年は特に、これまで売り上げの大きな部分を占めていた大手企業だけでなく、中小規模企業向けのビジネスに力を入れていく考えだ。ハードウェア/ソフトウェアベンダーやリセラーのほか、システムインテグレータなどのディストリビュータとのパートナー関係をそれぞれの性質に合わせた形で強化し、「SMEに合った商品やソリューション、プライス体系を作っていきたい」(橋本氏)。

 その具体的な形として、サービスプロバイダーやホスティング事業者と提携して、バンドルした形でサーバIDを提供することを計画している。また、中小企業にとっては割高感のあったサーバ証明書だが、必要な枚数だけを発行できる「切り売りモデル」を作り上げ、ディストリビュータと組んで提供していくことも検討しているという。

 これまで橋本氏は取締役副社長兼COOとして、前社長の川島昭彦氏とともに日本ベリサインを引っ張ってきたこともあり、「急に社内体制が変わるわけではない」(橋本氏)という。ただ「PKI以外の幅広いセキュリティ分野をカバーすべく、M&Aや提携については、よりスピード感をもって推進していきたい」とも述べている。

 なお同社はこの日、フィッシング詐欺への対策を目的とした新サービス「ベリサイン セキュアメール ID」も発表している。顧客や取引先などに大量のメールを送信する企業/組織を対象にしたサービスで、「info@hogehoge.co.jp」のような代表アドレスから送られるメールに電子署名を付与し、なりすましを見破れるよう支援する。サービスは4月下旬より開始される予定だ。

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