グループウェアで成功する人、しない人グループウェア戦国絵巻(1/2 ページ)

情報共有というのは簡単なようで、ともすれば使えないシステムを増やす要因となる。そんな下手を打たないためにも、最適なグループウェアの選び方について短期間で押さえてみよう。

» 2005年03月29日 09時00分 公開
[ITmedia]

 社内の情報をいかに共有し、効率的な情報の流れを作るか? このテーマは大企業だけでなく、今や中堅・中小企業でも考えるべき問題となっている。情報共有によって、業務の効率化、合理化を図るだけでなく、顧客対応に代表されるサービスレベルの向上や社内コミュニケーションの改善も期待されているのが現状だ。

 しかし、中堅・中小企業のIT化の現状は、ようやく社内LANを導入し、メールベースでの情報のやりとりと、ファイルサーバによるファイル共有といった、情報共有の第一段階にあることも珍しくない。外回りの営業の方などは、「上司のスケジュールが分かっていれば、商談のクロージングまでの期間をもっと短縮できるのに……」と思うことも多々あるのではないだろうか。こうした情報共有の第一段階からさらに「情報」を使いこなすための第一歩がグループウェアの導入だといえる。

「グループウェア 入れたはいいが 使わない」

 現在、グループウェアを導入しようと思えば、多種多様な製品をユーザーは選択可能だ。基幹システムと連携させるなどして大幅な業務改善を狙うのであれば、日本アイ・ビー・エムの「Lotus Notes/Domino」やNECの「StarOfice21」マイクロソフトの「Exchange Server 2003」「Windows SharePoint Services」などが候補に上ることだろう。これらの製品はそうしたニーズを満たすだけの高機能を備えている。

 実際、カスタマイズ性を重視してNotesなどを選択するユーザーも多いのは事実だ。しかし現実的にはカスタマイズには専門知識が必要となるため、システム構築を外部に依頼することになるケースが多い。そうなると、自社の業務フローを熟知しない外部業者がシステムを構築してしまうため、使い勝手が悪く、機能にも制限のある不十分なものができあがる羽目になる。グループウェア自体の問題ではないのだが、「グループウェア 入れたはいいが 使わない」ということになってしまうわけだ。

 これが、中堅・中小企業など数十人から数百人の規模での利用となると、求められる要件が少し変化する。この市場では、使いもしない高機能にコストをかけるのではなく、導入コストが低くかつ手軽に利用できる、つまり即戦力となる製品を求める傾向がある。

 このうち、「手軽に利用できる」というのは導入を考えるにあたっては特に重要である。一般的に、年齢を重ねた人にとって新しい技術に対応することは苦痛を伴うものだ。携帯電話をイメージしてほしい。若い人はさまざまな機能を興味を持って使っていくが、年齢を重ねるにつれ本当に最低限の機能しか使わなくなってしまう。これと同じでグループウェアでもユーザーによって参加意識が非常に薄いケースがよく見られる。グループウェアの導入企業のなかには、グループウェアを立ち上げた時間が出社時間、グループウェアを閉じた時間を退社時間とするところもあるという(そしてこれをタイムカード機能として実装するものが多いのも事実だ)。なんとかグループウェアを使ってもらいたいという苦肉の策と思わざるを得ないが、これはユーザーをシステムに合わせようとしている本末転倒な結果となっている。

 ユーザーの心理としては、各機能の名前が、何をする機能なのかくらいは直感的に分かるようなインタフェースで、かつ操作も簡単であるものが欲しいのが本音である。これに加え、専任の情報システム管理者を配置することがリソース的に難しい中堅・中小企業では、メンテナンスも簡単に行えることが望まれよう。

 こうした要件にうまく合致して人気を博しているのが、最近バージョン6.5がリリースされたサイボウズの「サイボウズ Office 6」(以下Office 6)である。次いで、ネオジャパンの「desknet's」といったところだろうか。そのほか、後発ではあるが、マイクロソフトの「Microsoft GroupBoard ワークスペース」(以下GroupBoard)が最近注目されている(正確にはGroupBoardはWindows SharePoint Servicesのアドオンで一種のテンプレートだが)。同製品は、日本のユーザーのため国内の開発チームで開発しており、この市場に対するマイクロソフトの気合いの入れようが見て取れる製品となっている。

 以後、本稿では導入企業が2万社を超えるなど中堅・中小企業における最大勢力と言っても過言ではないOffice 6と、その座を狙う新興勢力であるGroupBoardの2製品を取り上げ、機能比較、可用性、導入コスト、導入形態などを紹介しながら、実際にグループウェアのメリットについて詳しく解説していこう。


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