「どこからともなくブートするOS」がさらに進化、産総研が発表

産総研は、分割圧縮ブロックファイルを利用することでネットワークブートの効率を高めた「HTTP-FUSE KNOPPIX」を公開した。

» 2005年04月14日 19時56分 公開
[ITmedia]

 産業技術総合研究所(産総研)は4月14日、「HTTP-FUSE KNOPPIX」を公開した。

 これは、2004年度の「第1回未踏ソフトウェア創造事業」で採択されたプロジェクトの成果の一部として発表されたもの。同プロジェクトでは、産総研の須崎有康氏とデジタルインフラの岡島純氏が「どこからともなくブートするOS」というテーマで開発を行っていた。

 同OSはLinuxカーネルとminirootを含む6Mバイトのブートイメージで起動するKNOPPIX。ルートファイルシステムであるcloopファイルは小さなピース(分割圧縮ブロックファイル)に分割され、HTTP経由でオンデマンドに取得、仮想的なブロックデバイスとして再構成される。これはユーザースペースファイルシステム「FUSE」をベースとした技術。

 「HTTP-FUSE KNOPPIX」は、2004年にリリースされていた「SFS-KNOPPIX」の問題点を解決している。SFS-KNOPPIXは、起動するたびにSFS(Self-certifying File System)サーバに接続し、cloopをマウントしてから起動する方法だったため、再起動などをすれば、同じファイルのダウンロードを繰り返す必要があったが、今回のKNOPPIXは一度ダウンロードした分割圧縮ブロックファイルは手元のものを再利用できる。また、HTTPベースでダウンロードを行うため、ネットワーク的に近いプロキシやミラーサーバがあれば、起動の高速化を図ることができる。

 ルートファイルシステムを起動時に選択して利用できるため、HTTP-FUSE-KNOPPIXがあれば、さまざまなカスタマイズKNOPPIXを動作させることが可能なほか、同一内容のブロックファイルは共用できるのでカスタマイズKNOPPIXを置くサーバの容量も抑制できるなど、提供側、利用側双方にとってメリットがあるKNOPPIXだと言える。

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