用語:SCM

» 2005年04月24日 23時55分 公開
[ITmedia]

 SCM:サプライチェーンマネジメント:Supply Chain Managementの略。生産や在庫管理、受発注、物流などを最適化する活動のこと。製品の企画開発、原材料の供給から工場での製造、出荷、顧客への納品などの一連の連鎖を、コンピュータを利用して管理する。

 かつての製販同盟やMRP、また、トヨタのカンバン方式などとも関連してくるが、SCMはソフトウェアをコアに使って、連鎖全体の最適化を目指す。SCMは主に、需要を予測したり、生産計画を立案する計画系システム(SCP:Supply Chain Planning)と、工場における実際の生産状況や物流体制などを管理する実行系システムがある。

 計画系と実行系システムをうまく連携することで、実態をリアルタイムに反映したSCMシステムを構築することができる。

 関連するキーワードとして、取引先となるサプライヤーともシステムを連携させるSRM(Supplier Relationship Management)がある。また、製品の企画から設計、生産、出荷、サポート、生産および販売の打ち切りまで、製品が寿命を終えるまでを一貫して管理することで、開発期間を短縮したり、効率的な生産、適材適所の製品投入などを目指すPLM(Product Lifecycle Management)なども注目を浴びている。

メリット

 SCM構築の最大の目的は在庫水準の最適化。営業部門から流れてくる顧客からの受注情報や過去データを基に、需要予測エンジンを実行し、各期間ごとに必要な数だけの生産計画を立てる。不測の事態に備えるための安全在庫を確保した上で、過剰在庫の発生を避けることができる。このようなエンジンをより短いサイクルで実行することで、業務プロセスのリアルタイム性が高まり、顧客へのすばやい納期回答の明確化が図れる。

 最終的には、生産コストの削減、顧客満足向上により、競争力アップ、さらなるコスト削減の実現、さらなる競争力アップといった形の正のスパイラルを構築することが可能になってくる。

 従来は、市場の浮き沈みに伴い、完成品在庫や部品在庫が積み上がることで、在庫の保管コストが上昇したり、値下げ販売などを余儀なくされ、財務を圧迫される企業も多かった。

デメリットなど

 取引が基本的に電子データになり、社内外の業務プロセスを大幅に変更する必要が出てくる。既存の取引企業の再編なども必要になり、中途半端に導入作業を行うと、現場の混乱を招くだけで成功に結びつかないこともある。

 また、アプリケーションを導入する前に行う業務要件の定義自体が大変である場合も多い。例えば、1つの製品について、複数の工場や事業所がそれぞれ異なるIDで呼んでいたり、外部業者と電子的に取引する場合は、いわゆるマスターデータの統合作業が発生することになる。マスターデータを万遍なく正確に定義できなければ、情報の一元管理のメリットは享受できないため、重要な作業だが困難を伴うケースが多いようだ。

業界動向

 SCMのソフトウェアは、i2 TechnologiesやManugisticsなど、SCMに特化したソフトウェアベンダーと、SAPや旧Baanを買収したSSA Global、Oracle、IntentiaなどのERPベンダーが、SCM向けモジュールとして提供している。

 また、業界個別に標準化を進める動きもある。その1つに、情報機器や半導体、電子部品業界を中心に多くの企業が参加するRosettaNetがある。

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