企業へ、そしてソーシャルネットワークへと拡大するRSS

ネット上を流れるコンテンツを集約し、手元に届けるためのソフトウェアやサービスが拡大。企業での活用やソーシャルネットワーク機能の追加といった新しい側面が広がっている。

» 2005年04月25日 21時35分 公開
[Matt Hicks,eWEEK]
eWEEK

 Web上でシンジケーション(記事配信)方式の人気が高まるのに伴い、XMLベースのニュースフィードを読むためのソフトウェアやサービスの多様化が進んでいる。

 企業ユーザーをターゲットにしているNewsGator Technologiesでは、自社のRSSアグリゲーション(集約)サービスのサーバ版の投入準備を進めている。

 一方、新興企業のRojo NetworksおよびOnfolioは先週、それぞれのRSSリーダーを広く公開した。両社のRSSリーダーには、配信記事を検索/整理するための新たな工夫が加えられた。

 NewsGatorは、「Dino」というコードネームで呼ばれる企業向けサービスを開発中だ。コロラド州デンバーを本社とするNewsGatorのグレッグ・ライナッカーCTO(最高技術責任者)によると、このサービスは、Webベースの公共向けアグリゲーター「NewsGator Online」で使用されているエンジンを企業のファイアウォールの内側に提供するものだという。

 ライナッカー氏によると、このソフトウェアは暫定的に「NewsGator Enterprise Server」と呼ばれており、来月にベータテストが開始され、年内には一般向けにリリースされる予定だとしている。同サーバには、シングルサインオンでのアクセスを可能するためにMicrosoftのActive Directoryと連携するオプションや、Outlookを通じてニュースフィードにアクセスするためにMicrosoft Exchangeと連携するオプションも含まれるという。

 「社内コンテンツをRSSという形で配信し始めている企業が増えている。現在、企業が最も必要としているのは、セキュアな方法でコンテンツを社内で配信できることだ」とライナッカー氏は話す。

 NewsGatorの名前は既に、Outlook版でよく知られている。これは、Outlookクライアント 内でRSSフィードを購読/管理するためのプラグインである。「しかしこのソフトウェアでは、ユーザーが配信記事を更新するのにOutlookを動作させる必要がある」(ライナッカー氏)

 サーバ版では、Exchange内でアグリゲーションが行われるため、Outlookクライアントなしで配信記事にアクセスすることができる。

 NewsGatorのOutlookアグリゲーターにも改良が施される。ライナッカー氏によると、同社は今週、Outlook版のバージョン2.5のベータテストを開始する予定だという。このアップデート版は、Outlook用アドオンとNewsGator Onlineサービスを配備した複数のシステム間でフィードを同期化する機能の改善が中心となる。

新興企業2社も機能を拡張

 サンフランシスコを本拠とするRojoは、ソフトウェアクライアントを提供することよりも、Web上のRSSアグリゲーションサービスにソーシャルネットワーク機能を追加することに注力している。Rojoは4月20日、自社のRSSリーダーのパブリックベータ版をリリースした。

 このリーダーは、Webベースのアグリゲーターとフィード検索エンジンにソーシャルネットワーキング機能を組み合わせたもの。Rojoのクリス・オールデンCEOによると、ユーザーがRojoの会員になって知人を登録すれば、知人のRSSフィード選択リストを見て、これらのフィードを自分の購読リストに追加することができるという。

 「バージョン1.0のフィードリーダーは、拡張性に乏しいのが問題だった。ユーザーがますます多くのフィードを読むようになるのに伴い、画面が乱雑になるという問題が深刻化しており、フィードを整理する方法を改良する必要がある」とオールデン氏は話す。

 オールデン氏によると、Rojoはメタデータタギング機能もサポートしており、特定のフィード、フィード内の投稿、および個々の知り合いにキーワードを追加して情報を整理することができるという。このサービスには共有機能も用意されており、ユーザーはフィード記事にコメントを追加し、コメント付きの記事を知人と共有することができる。

 「Rojo Buzz」と呼ばれる機能は、ユーザーが作成したフィードリストに基づいて最も多くリンクされたオンライン記事を判定するというもの。

 Rojoサービスは昨年、特定ユーザーを対象としたベータプログラムが開始され、約1万人のユーザーがプログラムに参加した。同社は、Netscapeの共同創業者のマーク・アンドリーセン氏や投資家のロン・コンウェイ氏といったインターネット分野の著名人の支援を受けている。

 一方、マサチューセッツ州ケンブリッジにあるOnfolioでは、RSSアグリゲーションをオンラインサービスに組み込むのではなく、Webブラウザの機能に直接組み込もうとしている。同社は4月18日、「Onfolio 2.0」の一般公開を発表した。

 このブラウザ用アドオンの最新バージョンでは、RSSフィードの登録/購読/管理機能が追加された。ブックマークや訪れたWebページなどの個人Web情報を整理/保存する機能や、Webサイトやブログに情報を投稿する機能なども提供している。

 Onfolio 2.0はWindows環境で動作し、MicrosoftのInternet Explorer、MozillaのFirefoxおよびMaxthonの各ブラウザをサポートする。2種類のバージョンが用意されており、パーソナル版の価格は29.95ドルで、プロフェッショナル版の価格は99.95ドル。

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ