主要ベンダーのウイルス対策ソフトはWindows x64に未対応

最新の64ビットOSのパワーを利用しようとWindows XP Professional x64 Editionをテストしているユーザーはウイルス防護機能が利用できないというエラーメッセージに驚いている。

» 2005年05月02日 19時43分 公開
[Ryan Naraine,eWEEK]
eWEEK

 先ごろリリースされた「Windows XP Professional x64 Edition」をテストしているユーザーは、少なくとも2社のベンダー(SymantecとMcAfee)のウイルス防護機能がまだ利用できないというエラーメッセージに驚いている。

 最新の64ビットOSのパワーを利用しようと考えている早期導入ユーザーらによると、「Norton Internet Security 2005」のエラーメッセージは、「Symantecは現在、64ビットのプロセッサとOSに対応したコンシューマー製品を販売していない」という、ぶっきらぼうなものだという。

 Norton Internet Security 2005スイートはSymantecの主力コンシューマー製品で、ウイルス防護、スパム検出、ファイアウォール、侵入防止、コンテンツフィルタリングといった機能を備える。同製品は最近アップグレードされ、スパイウェア検出機能が追加された。

 Ziff Davis Internet Newsにリリースされた発表文によると、Symantecでは「x64の普及状況を見極める」方針だが、x64用のウイルス防護機能はまだ利用できないとしている。

 「SymantecはMicrosoftと緊密に連携して新しいx64生態系を構築したいと考えている。当社ではx64の普及状況を見極め、ユーザーのセキュリティニーズに対応した適切なソリューションを適切な時期に提供するつもりだ」(同発表文)

 同社によると、「Symantec AntiVirus Corporate Edition 10.0」はいずれ、Windows XP Professional x64 EditionおよびWindows Server 2003 x64 Editionsをサポートする予定だとしているが、フルサポートの時期は明らかにされていない。

 カリフォルニア州サンタクララを本拠とするMcAfeeのメッセージも基本的に同じ内容だ。「64ビットコンピューティングの市場は、ウイルス対策製品を本格的に投入しなければならないほど成熟していない」(同社)

 McAfeeのコンシューマー戦略/マーケットグループのシニアプロダクトマネジャー、マーク・ソロモン氏によると、当面、Windows XP Professional x64 Editionを利用するのは、開発者、ゲーマー、早期導入ユーザーに限られるという。

 ソロモン氏はインタビューで、「コンシューマーの間で64ビットOSの普及がすぐに始まることはないだろう」と述べている。

 「年末までにサポートを提供するというのが当社の現時点での計画だ。Longhornが出荷するまで、あるいはそのしばらく後まで、市場が成熟することはないとわれわれは考えている。Longhornが出荷されれば、コンシューマー市場をターゲットにしたドライバやソフトウェアが増えるだろう」(同氏)

 Microsoftでは、予想されるユーザーニーズにこたえるために64ビットのデバイスドライバの開発をスタートするようデベロッパーを促し始めているが、業界全般に64ビット用ドライバの開発を急がないという状況があり、McAfeeの方針もそういった状況を反映しているようだ。

 企業市場では、McAfeeは64ビットシステムの限定的なサポートを提供している。64ビットシステム向けのウイルス防護機能のフルサポートは2006年以降になる見込みだ。

 一方、Microsoftは、セキュリティパートナー各社の不十分なサポートにも動揺する気配はなさそうだ。同社の広報担当者は、「セキュリティは間違いなく最重要課題である」という方針を繰り返し、「当社は、主要AV(ウイルス対策)ベンダーがWindows XP Professional x64 Edition上で動作する64ビット版アプリケーションを開発する作業に協力してきた」と主張している。

 同担当者によると、現在、少なくとも2社の企業(Alwil SoftwareおよびComputer Associates International)がWindows XP Professional x64 Editionに対応した64ビット版のウイルス対策ソフトウェアを提供しているという。

 「Microsoftは今後もAVパートナーに協力し、x64プラットフォームで適切なAPアプリケーションを利用できるようにするつもりだ」(同担当者)

 Microsoftでは、x64はWindows Server 2003 SP1と同じコードベース上で開発され、「それ自体で非常にセキュアなOS」であるとしている。広報担当者によると、同OSにはWindows XP SP2(Service Pack 2)のセキュリティ機能や改善点が既に含まれているという。

 Microsoftのビル・ゲイツ会長は、今年のWinHEC(Windows Hardware Engineering Conference)のキーノートスピーチで、「64ビット世代は、多数のエクスプロイトコードに対処するNX(No-eXecution)ビットなど、ハードウェアによる強力な防護レイヤを提供する」と語った。

 同社の広報担当者はこのメッセージを補強すべく、次のように述べている。

 「Windows XP Professional x64 Editionには、DEP(Data Execution Prevention)が組み込まれている。DEPとは、メモリのチェックを追加することによって悪質なエクスプロイトコードに対する防護を強化するハードウェア/ソフトウェア技術セットであり、悪質なソフトウェアに対処するための追加的なセキュリティレイヤをWindows XP Professional x64 Editionのユーザーに提供する」

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