SEもEnglish(3)――「話し手の英語〜becauseとI meanの論理構造」Keri's Business English Clinic

今回は、自分が話すときの戦術について話を進めましょう。(特集:顧客満足度ナンバーワンSEの条件)

» 2005年05月19日 09時30分 公開
[光藤京子,ITmedia]

 過去2回は、相手の英語に対応する表現をご紹介しましたが、今回は、自分が話すときの戦術について話を進めましょう。

 かつて筆者が通訳をしていた頃、英語から日本語への通訳と日本語から英語への通訳のどちらが楽かと聞かれたら、講演など長いスピーチのときは、間違いなく前者と答えておりました。それは、日本人のスピーチは概して脈絡なし、論理構造不明で、予測を前提とする同時通訳はもちろん、逐次通訳でも困難な場合が多かったからです。後からメモを見て内容を再現する逐次通訳では、こちらで中味を整理してから客に伝えなければならないことがよくありました。

 アメリカ人の小さな子供は、会話の中で、'cause(becauseの略式でカジュアルな言い方)を頻繁に使います。I want some juice, 'cause I'm so thirsty. Can I have some, Mom? などと、主張を述べた後に必ず理由を言います。アメリカ人の説得型スピーチの基本である、結論(主張)→結論(主張)のサポートになる理由や根拠→結論(主張)というパターンを小さいときから学習し、実現しているのです。

 一方、関係のない事柄から口火を切り、徐々に本題に近づいていく日本的論理展開は、欧米型のビジネストークには通用せず、残念ながら、このスピーカーはincapableなのではないかという印象を与えてしまいます。ですから、スピーチの際には、事前に要点を整理した上で結論や主張を先に述べること、その後の理由や根拠も出来るだけ短くすっきりまとめることが大事です。

 それらは、ただ並べればいいのではなく、3部構成くらいに要点をまとめて話すと相手への説得力がぐんと増します。話の切り替えには、First、Secondly、In addition、Finallyなどのシグナルワードを文頭に使うと相手がより理解し易くなります。

 また、アメリカ人の子供は少し大きくなると、会話の途中によくI mean,..を挿入します。それは、自分の言っていることの焦点がボケてくると、すぐに修正しようとする気持ちが働くからです。一生懸命話しているつもりでも、何か焦点がずれてきたなと思ったときは、What I'm trying to say is...とか、Let me clarify my point.などを途中に入れ、論理の修正をただちに行えば大丈夫です。

 最後に、日本人は必要以上に謙虚で、つい「自分の英語が下手で申し訳ない」などと言ってしまいますが、こんな言い訳は不要です。第一言語でないのですから、「下手で当たり前。文句あるなら、あなたも日本語で話してごらんなさい」くらいの度胸で行きましょう!


 この記事は、メールマガジン「B-zine」の内容を新たに加筆して掲載しています。 

光藤京子(みつふじきょうこ)


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