これからの64ビットプログラミングに必要なこと64ビットコンピューティング最前線

今回は、ここまでの連載のまとめとして、64ビット対応アプリケーション開発者向け参考リンクなどを紹介する。

» 2005年06月16日 00時00分 公開
[C MAGAZINE]

C MAGAZINE 2004年10月号第3特集「64ビットコンピューティング」より転載

まず考えなければならないこと

 アプリケーションの64ビット化は、使用可能なメモリ幅を大きく拡張してより膨大な量のデータを一度に扱うことができるようになるというメリットがあります。しかし、今すぐに、何でもかんでも64ビット化すればよいかというと、必ずしもそうとはいいきれません。

 アプリケーションを64ビット化するにあたって、重要なのは「計画性」です。まず、本当にそのアプリケーションを64ビット化する必要があるのかどうか、というところから検討することが重要です。

 すべてのアプリケーションが64ビット対応になれば、アーキテクチャ的にも美しいかもしれません。しかし、開発コストや新しいシステムの維持、古いシステムとの共存およびメンテナンスの問題といったことなど、トータル面でのバランスも考えていかなければなりません。

 とはいえ、PCの64ビット化は遅かれ早かれ必ずやってくるはずです。今すぐに64ビットへ移行しないまでも、将来、過去(32ビットに縛られた世界)に取り残されてしまわないよう、今のうちから「64ビット」の知識をできるだけ身につけておいて、いつでもそれを受け入れられる体制を整えておくことが大切なのではないでしょうか。

64ビット対応アプリケーション開発者向け参考リンク

 最後に、64ビットアプリケーションの開発に必要なコンパイラやドキュメントのURLを表にまとめましたので参考にしてください(Table14)。まだまだ英語のサイトやドキュメントが中心ですが、日本語の説明も少しずつ増えてきています。

Table14 64ビット対応C/C++コンパイラ、デベロップメントキットおよび公式ドキュメント
内容 URL
Intel C/C++ Compiler for Windows Windows版インテル C++ コンパイラ 9.0
Intel C/C++ Compiler for Linux Linux版インテル C++ コンパイラ 9.0
Microsoft 64-bit C/C++
Optimizing Compiler
MSDN Home Page
PGI Compiler HPC用ソフトウェア・ミドルウェア製品
GNU C/C++ Compiler GCC Home Page
Sun Studio8
(High Performance Compiler)
アプリケーション開発環境
Microsoft MSDN Library MSDN Home Page
Microsoft Platform SDK Platform SDK: Introduction
Microsoft Windows DDK Windows Driver Development Kit:
Overviewインテル・ハードウェア設計
Intelデベロッパー向けサイト Intel Software Network
AMDデベロッパー向けサイト AMD DevCentral
Apple Developer Connection Apple Developer Connection

◇免責
 本記事で紹介している技術、プログラムによって生じたいかなる損害も補償いたしません。ご要望、ご質問などにはできるだけ対処していくつもりですが、必ずしもそれがC MAGAZINE編集部または筆者の責任においてなされるという保証はありません。
 本記事で紹介したサイトのURLや名称等は将来変更される可能性があります。

◇参考資料
・64-Bit Extension Technology Software Developer’s Guide
・AMD64 Architecture Programmers’ Manuals
・『IA-64プロセッサ基本講座』池井満/オーム社
・Microsoft Platform SDK
・Quick Start Guide for Porting Applications for Win64
・The Intel IA-64 Processor Family A Multi-Operating System Architecture
・「TX7/AzusAへのユーザプログラムの移植について」後藤英昭


Cマガ15th 15年の歩み

 15年前、PC-8801や9801、X68000といった機種が主流で、私もそれらに興味を持っていました。当時学生だった私に高額なPCを購入する余裕はなく、学校帰りに近くの電気店へかよってゲームをしたりプログラムを組んで遊んだりしていました。そのころはPC-DOSの互換OSなんかを作っていました。

 最初にC MAGAZINEの記事にかかわったのは今から5年ほど前、MP3特集からです。SCMPXというソフトを公開していた私に編集部の方がお声をかけてくださったことがきっかけでした。今、私はエンジニアという肩書きで仕事をしています。この15年でPCのテクノロジは飛躍的な発展を遂げました。8、16ビットから32ビットを通り越し、今や64ビットの領域へ入りつつあります。この先も確実に進化するであろうテクノロジの一歩先を常に見続けられるよう、日々プログラミングにそして執筆活動に取り組んでいきたいと考えています。

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