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» 2005年07月06日 00時19分 UPDATE

Fedora Directory Serverの意味するもの

Red Hatが発表したディレクトリ・サーバ製品は、発表した段階こそその反応は控えめだったが、ed HatやLinuxユーザー、そしてオープンソース・ソフトウェアにとって、その意味するところは大きい。

[Brian-Jones,japan.linux.com]

 昨年Red Hatが買収したNetscape Directory Service製品にはGPLの栄光が運命づけられていたという発表がレッドハットサミットであったが、反応はごく控えめだった。しかし、Red HatやLinuxユーザー、そしてオープンソース・ソフトウェアにとって、その意味するところは大きい。

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 ディレクトリ・サービスを日常的に使っている人はほとんどいないだろう。しかし、大概の人は、常に何らかのディレクトリ・サービスの恩恵を受けている。ユーザー認証にはディレクトリ・サービスが使われているし、電子メールの宛先欄にアドレスを補完入力できるのもディレクトリ・サービスのお陰だ。ほかにも、システムに近いレベルで多くの仕事をしてくれている。

 現在はFDS(Fedora Directory Service)と名を変えたNDS(Netscape Directory Server)は、非常に人気のあるディレクトリ・サービス・アプリケーションである。かつてiPlanet Directory Serverと呼ばれていた時期もあり、これはSunONE Directory Serverとして今に繋がる。SunONE、iPlanet、NDS、FDSのコードベースは多くの共通点を持ち、世界に配備されているディレクトリ・サービスの大部分を占めている。したがって、Red Hatにとって、FDSは多数の企業に近づく大きな足がかりとなる。

 例えば、今もSolaris 7とiPlanet Directory Serverを使っているショップを考えてみよう。あるいは、Solaris 8でSunONE Directory Serverを運用しているショップでもいい。プロプライエタリでブラックボックスのマシン上で、プロプライエタリでブラックボックスのプラットフォームを動かし、プロプライエタリでブラックボックスのサービスを運用し、その「利用権」に対して金銭を支払ってきたが、これからは、もうその必要はないのだ。オープンソース(その上、FDSは無償)で完全な機能を備えたソリューションを普通のハードウェア・プラットフォーム上で運用することができる。FDS(とその商用版RHDS)は、Sunが横たわる棺の蓋を閉じる最後の釘を打ち込むために、Red Hatが打ち下ろしたハンマーなのである。

 SunがRed HatやNovellの製品のようなエンタープライズ・レベルの実績を持つディレクトリ・サービスに対抗できるとは、わたしには思えない。Red Hatとまったく同じように、Novellも、今やLinuxでも動作するようになった自社製品を、古いNetWare OSを使っているクライアントに売り込んでいるのだ。

 現在、ディレクトリ・サービス市場の主要なプレーヤーはNovellとRed Hatの2社であり、目下の問題はIBM SecureWayとSunONEとeTrust(CA)のいずれが撤退するかではなく、2社のどちらがいつ主導権を握るかである。FDSは100%のオープンソースになる予定だから(Red Hat次第だが、ともあれ現行パッケージの範囲ではオープンソース)、FDSが成功すればLinuxとオープンソース・ソフトウェアの勝利となる。一方、Novellの製品はオープンではなく、わたしの知る限りオープン化の計画もない。

 しかし、NovellとRed Hatの優位性は長くは続かないかもしれない。3年後、AppleはIntelプラットフォーム上でOpenLDAPのGUIを投入し後継を狙うからだ。IBMやSunやCAも、自社製品が壊滅するのを手をこまぬいて見てはいまい。

Red Hatのつまづきの石

 そう、Red Hatの明るい未来は約束されたものではないのだ。Red Hatは、価格体系と販売形態を整合性があり現実的なものにしなければならない。Red Hat Networkのユーザーとして、わたしは、Red Hat Directory Server(無償であるFedora Directory Serverの商用版)がマシン登録料が定額のまったく異なる販売形態で登場するのではないかと半分期待している。確かに、NovellSunONE、あるいはOpenLDAPソフトウェアでさえ無償でダウンロードできるのだから、馬鹿げた話には違いないが。さらに、Red Hatは、RHNのユーザーにはRHDSを10万エントリー程度までは無償にすることを検討すべきだ。これは荒唐無稽な話ではない。eDirectoryは25万エントリーまで無償で使えるし、SunONEも同様だ。ケチなことを言っていると思うなかれ。FDSをいつでも無償でダウンロードできることぐらい、わたしも知っている。しかし、わたしはRHASを使っている。だから、RHNやその他幾つかのもの(今は思い出せない)と統合されているRHDSを使いたいのだ。

 Red Hatが失敗する可能性はほかにもある。開発の停滞だ。RHDSは優れたアプリケーションだが、未完であることも確かであり、一方でRed Hatがこの製品に関する開発コミュニティーを組織するという話はまだ聞いていない。Fedora Directory Serverには、開発コミュニティー・サイトとなるべきサイトがあり、変更ログ・ページやバグ報告ページも揃っている。しかし、アカウント請求フォームには、「現時点では、投稿は受け付けていません」とある。これは暫定的なものだろうが、今回の発表で沸き立つ活気を利用して、なぜ開発に勢いを付けようとしないのだろうか。

 ならば、インテグレーションについてはどうだろうか。これはNovellが実績を持つ領域であり、電子メールも使えないようなエンドユーザーから、当のソフトウェアを配備した管理者に至るまで、すべての人にとって完成度が高く小綺麗に統合されたツール群がある。これに対して、Red Hatの行くべき道はまだ遠く、この領域ではNovellの敵ではない。対抗すべき相手は、SunやMicrosoftである(Active Directoryを忘れていたわけではない)。

 Red Hatが失敗する可能性はもう1つある。このプロジェクトの中で、まだGPL化されていない部分をオープンソース化できないかもしれないのだ。プロジェクトの中で最も魅力的な機能のオープンソース化に障害があるという。すなわち、グラフィカル管理コンソールだ。オープンソースの開発者や管理者にとっては、これは「一巻の終わり」を意味しない。機能を実際に司るデーモンはGPLアプリケーションだからだ。どうしても必要なら自分でインタフェースを書けばよい。そうした事態になったとしても、中核的なシステムレベルの機能では、まだOpenLDAPに先行している。しかし、Red Hatがオープンソース・ソフトウェアに貢献するというわれわれの信頼は瓦解するだろう。

おわりに

 一言で言えば、Red Hat にとってRed Hat Directory Serverの意味するものは大きい。ただし、この製品の持つ長い歴史と現在の普及度を活かす計画を実行できればの話だ。Fedora Directory Serverとそのフリー版は、オープンソース・コミュニティーにとって大きな勝利だ。フリーのディレクトリ・サーバを必要とする場合、本当に競争力のある製品だからではなく、やむを得ずOpenLDAPを使ったという人は多いのだ。管理者たちは、Red Hatが製品全体のGPL化を成し遂げるか、商用版RHDSの統合化・価格体系・販売形態がどうなるかを注意深く見守っている。それを実現することができれば、Red Hatの勝利はほぼ確実だ。そして、オープンソース・コミュニティーにとっても、有償サポートつきのパッケージがあればデータセンターをLinuxに完全移行したいと考えているショップにとっても勝利となる。

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