Red HatとNovellに対抗、エンタープライズ向けDebianに評価さまざま(1/2 ページ)

8月のLinuxWorldでMandriva、Progeny、Turbolinuxの3社が共同で、Debian Linuxをベースとする新しいエンタープライズディストリビューションを発表するようだと情報筋は明かす。

» 2005年07月11日 18時34分 公開
[Steven J. Vaughan-Nichols,eWEEK]
eWEEK

 情報筋によると、Linuxの新しいエンタープライズディストリビューションの開発が進められており、今夏中には登場する見込みだという。だがそのインパクトや成功の見込みに関しては、アナリストの間で意見が分かれている。

 8月にサンフランシスコで開催される「LinuxWorld」カンファレンスにおいて、Mandriva、Progeny、Turbolinuxの3社が共同で、Debian Linuxをベースとする新しいエンタープライズディストリビューションを発表するようだ、と情報筋は話す。ほかの企業も開発に参加している可能性がある。この新ディストリビューションは、「Debian 3.1(sarge)」Linuxディストリビューションをベースとすると言われている。

 新ディストリビューションは、エンタープライズLinuxの2大製品であるNovellの「SLES」(SUSE Enterprise Linux Server)およびRed Hatの「RHEL」(Red Hat Enterprise Linux)への対抗を狙ったもの。

 このディストリビューション(あるいはその他のLinuxディストリビューション)は、拡大するエンタープライズLinux市場でNovellおよびRed Hatに対抗できるのだろうか。

 この疑問に関して一致した見解は存在しないようだ。OSやLinuxを専門とするアナリストの間では、各種の新ディストリビューションがビジネスLinuxの世界に風穴を開けることができるかどうかをめぐって意見が分かれている。

 例えば、Quandt Analyticsの主席アナリスト、ステーシー・クアント氏は、その可能性を疑問視している。

 「Debianベースのディストリビューションが、今日の市場で成功するのは難しい。大多数のISVにとって、Red Hatが第1の選択肢となっているからだ。これはRed Hatにとって有利であるだけでなく、Red FlagやAsianuxなどRed Hatをベースとするディストリビューションにとっても有利な状況だ」とクアント氏は指摘する。

 「ISVが、複数のLinuxディストリビューション上でアプリケーションをサポートしたり、認定したりするのは高い費用がかかる。それゆえ、ほとんどのISVは、Red Hatの次にSUSEに移植するか、Red HatとSUSEのサポートを同時に提供している」(クアント氏)

既にISVのサポートを確保?

 一方、Debianは成功に必要なISVのサポートを既に確保したと考えているアナリストもいる。

 IDCでシステムソフトウェアを担当するプログラム副社長のダン・クズネツキー氏は、「ベンダー各社は、3種類のLinuxディストリビューションをサポートする意欲があるようだ。Red Hat、SUSE、そしてもう1つのディストリビューションだ。3番目にサポートされるディストリビューションは、地域や顧客ベースによって異なるが、Debianが選ばれるケースが多い」と話す。

 「最大の疑問は、ハードウェア/ソフトウェアベンダー各社が、Debianグループのバージョンだけをサポートするのか、それともDebianディストリビューション全般をサポートするつもりがあるのかということだ」(クズネツキー氏)

 調査会社Illuminataの上席アナリスト、ゴードン・ハフ氏は、Debianベースのリリースが成功する可能性はあると考えている。「自分でシステムを構築するユーザーの間でDebianの人気が高まっているからだ。また、Progenyも既にその道を進んでいる」と同氏は話す。

 ハフ氏によると、このディストリビューションは「UnitedLinuxバージョン2005」と形容することができるという。「UL(UnitedLinux)と考え方は同じだ。つまり、主要ISVのお墨付きをもらうのに必要なクリティカルマスを確保することを狙っているのだ」と同氏は説明する。

 「とはいえ、NovellでさえもSUSE Linux事業を本格的に拡大するのに苦労している。特に北米では依然として、Red HatのLinuxが主要なエンタープライズディストリビューションだ。確かにDebianの人気は高いが、それは主要な無償ディストリビューションだというのが大きな理由だ」とハフ氏は付け加える。

 ハフ氏の同僚であるIlluminataの主席アナリスト、ジョナサン・ユーニス氏は、もっと悲観的な見方をしている。Mandriva、Progeny、Turbolinuxに成功の見込みはあるかとの質問に対し、「少なくとも今回は、彼らが新たなエンタープライズLinuxプラットフォームの確立する見込みはなさそうだ」と話している。

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