コラム
» 2005年07月15日 17時09分 公開

Wikiスパムに対抗する (1/2)

この1年ほど、スパムに利用されるWiki類が増えている。果たして、Wikiコミュニティーは、オープンで使いやすいWikiを維持しつつ、スパムを撲滅できるのだろうか。

[Rob-Sutherland,japan.linux.com]

 Wikiを開設しっぱなしにしてはいないだろうか。もしそうなら、覗いてみたほうがよい。この1年ほど、スパムに利用されるWiki類が増えているのだ。Wikiをまったくの無防備状態に置くか、逆に、まったく自由度なしにしてしまうか。Wikiの開発者やWikiを運営する者にとって、この両極端のどの辺りを歩むべきなのか、悩ましい問題である。果たして、Wikiコミュニティーは、オープンで使いやすいWikiを維持しつつ、スパムを撲滅できるのだろうか。

 Wikiを対象とするスパムは、通常、ユーザー・プロファイルや練習用の領域といった標準ページに一群のリンクを挿入する。リンクが張られているテキストは、大概、たわいのないものだが、そこに指定されているURLはフィッシングやギャンブルやポルノのサイトのものだ。そうしたスパムページを数百あるいは数千作ることで、Wikiスパマーは、人々のクリックを誘うリンクを大量に作り、検索サイトで自分のサイトを高くランクさせるのである。

 通報のあったWikiスパム一覧既知のWikiスパム名の検索を見ると、この問題が拡大しつつあることがわかる。

 こうしたスパムに対して、Wikiコミュニティーはかねてから真剣に取り組んできた。これまでのWikiの理念は自主管理であり、コミュニティーによって編集されることによって時間の経過とともに誤りは削除されたり訂正されたりしていくものと期待されていた。しかし、今では、そうした理念は成り立ちそうもない。Wikiへの投稿が人目に付くには、しばらく時間がかかるからだ。無人ないしそれに近い形で運用されている「幽霊Wiki」の場合は特にそうだ。そして、誰かが気づいたとしても、Wikiは通常履歴を残すため、問題のページを削除しただけではスパムを一掃することができない。さらに、人気のあるWikiでさえも、事を複雑にする事情がある。つまり、投稿の多くが偽りであり魅力のない危険なサイトへのリンクであれば、Wikiに参加しようとする真っ当なユーザーが減り、スパムに気づき削除しようとする人が少なくなってしまうのだ。

 スパマーがWikiに集まってくる要因は他にもある。Wikiへの登録と投稿の手順は、できる限り分かりやすく単純である必要がある。そうでなければ、真っ当なユーザーは面倒くさくなって、逃げてしまうだろう。Wikiの持つその最大の特徴が、皮肉なことに、最大の弱点になっているのだ。Wikiのオープン性と容易に修正できるという特徴が、無責任な犯罪者が偽りの内容を書き込むことを許し、共有リソースの価値を低下させているのである。

 それでは、対策はあるのだろうか。まず、「WikiスパムはWiki全体の問題であり、Wiki全体で解決する必要がある」。この点では、コミュニティーは一致しているようだ。また、Wikiスパム問題は、電子メールやブログコメントのスパム対策で採用されているアプローチで解決することはできない。電子メールやブログには必ず通過する場所があるが、Wikiにはそうした隘路はないからだ。コミュニティーという要素も考慮しなければならない――ベイズ・フィルターやグレー・リスティングやブラックリストといった方法は適用できないのだ。あるツールを採用するにしても、コミュニティーは多様、それも極めて多様であり、ツールの利用と悪用がコミュニティーに与える影響を考慮しなければならない。たとえば、ブラックリストを載せたWikiページを作り、WikiメンバーがブラックハットIPを提供できるようにして、コミュニティーの支援を募ったとしよう。たまたまフレーム戦争のさなかにいる人が、このツールを利用して相手に報復するのをどうやって止めることができるだろうか。

 今すぐにできることは幾つかあるだろうが、ツールを総動員して有効性を探るのが、現状、最善の策だろう。現行のツールは、次の3種に大別できる。

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