企業はなぜデータ活用に悩むのか？：交差するデータ事情（2/3 ページ）

[梅田正隆，ITmedia]

　ビジネスにおける価値の最大化に欠かせないのがデータ活用。企業の多くは、業務プロセスのデータを単に蓄えるだけでは、何の価値も生み出さないことに既に気づいている。ビジネス課題が存在しているのに、データを使えないために原因を特定できなかったり、解決へのアプローチが見えなかったりというのでは、ITを導入した意味がなくなってしまう。データは活用しなければならない。

　振り返れば、組織におけるデータ活用は、まず経営陣が必要とする業績指標となるデータを取りまとめることから始まったという経緯がある。IT部門のスタッフが個別の業務アプリケーションから実績データを引っ張り出し、加工して、見栄えのいいレポートに取りまとめて提供された。

　それでも、ときに経営とIT部門の間でデータに関する不整合が生じ、必要なデータが抜け、データをそろえ直すまでに多くの手間や時間がかかったりした。経営の重要局面ともなると、適切な意思決定を迅速に行うためのデータが要るが、必要なときに必要なデータを、求められた形式で提供するという当たり前に思えることが実は非常に難しいのだ。

BIを導入した組織の課題

　国内の先進的な組織は、すでに2001年頃からデータ活用基盤づくりを始めている。その多くが体制の見直しや業務改革をきっかけにして、IT戦略にも抜本的な見直しを図った。IT戦略の柱となったのが、業務改革に寄与するIT基盤の整備だった。組織において意思決定を行う者が、日々データを活用できる環境を整えることが求められるようになっていった。