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» 2005年09月27日 00時15分 UPDATE

国産スパコンをぶっちぎりの一位に!――筑波大学長

9月26日より「次世代スーパーコンピュータとシミュレーションの革新」と題するシンポジウムが行われている。基調講演には筑波大学長の岩崎洋一氏が登場し、スパコンのこれまで、これからを語った。

[大津心,@IT]

 計算科学技術シンポジウム「次世代スーパーコンピュータとシミュレーションの革新」(主催:国立情報学研究所)が9月26日に開幕した。基調講演では、筑波大学長 岩崎洋一氏が「次世代スーパーコンピュータ開発プロジェクトへの期待」と題した講演を行った。

岩崎氏 筑波大学長 岩崎洋一氏

 岩崎氏はまずスーパーコンピュータ(スパコン)の貢献を説明。スパコンの登場によって計算科学技術が発展し、ナノ・バイオ分野や細胞・人体分野、地球規模の気象変動にまで分野が広がり、現在では「実験・観測」「理論」と並ぶ3本柱にまで成長したという。このことから、「スパコンの発展は、日本の『科学技術創造立国』の根底をなす重要な要素だ」と位置付けた。

 過去エポックメーキングとなったスパコンには、世界初のスパコン「CRAY-1」や「数値風洞」「CP-PACS」「地球シミュレータ」を挙げた。

 同氏自身が携わったスパコン「CP-PACS」は「計算科学者と計算機工学者が共同開発したもので、初めて実用に耐え得るスパコンになった」と評価した。地球シミュレータは、過去に起きた事象を計算で証明したことによって、「計算が信頼できる結果を出せるということを証明した点」を高く評価。本格的な計算科学として、地球規模の気候変動研究を初めて実現した点が、その中でも特に評価できる功績だとしている。

 そして今後このようなスパコンによる計算科学技術は、「素粒子・宇宙物理」や「ナノテクノロジ」「ライフサイエンス」といった分野でますます増大していくだろうと予測した。

 続いて岩崎氏は、計算科学技術は「アプリケーション」と「計算機システム」の2つの要素で成り立っていると説明。現在の国産スパコンの状況を見ると、1997年にはスパコンTOP100に国産製品が44台あったが、2005年には10台以下にまで激減していると指摘。「このままでは科学技術創造立国の基盤が失われてしまう」と警告した。

 このような状況を踏まえて同氏は文部科学省に対し、ロードマップに基づく持続的な開発の必要性や高い目標の設定することなどを提言したという。中でも、米国のASCI計画のような中長期的なロードマップの作成が必須であることや、日本独自のプロセッサ開発の必要性を訴えた。

 また目標設定については「高い目標を揚げて、妥協のないプロジェクト実施が必要であり、ぶっちぎりの1位にするくらいの気概が必要」と語り、「一時的に1位を奪還しただけではすぐにまた抜かれてしまう。継続的に1位を確保できるようなロードマップや開発が必要だ」と説いた。

 次世代スパコンのアーキテクチャでは、設置スペースや電力、コストなどを現実的に考えた場合、「設置スペースや電力は地球シミュレータの規模が限界ではないか」と説明。ピーク性能1P(ペタ)FLOPSを実現するためには「ベクトルSMP方式」「スカラSMP方式」「超並列(MPP)方式」が考えられるものの、メモリ性能がプロセッサ性能に追いついていない問題やシステム全体の設置面積や消費電力などの問題が山積しているとした。

 最後に岩崎氏は、「国家プロジェクトとして、科学技術の大きな目標を解決するリーディングマシンの開発をするべき」との考えを示し、その実現のためには「明確な目標の設定」「最適なコンピュータアーキテクチャの選択」「計算科学者、計算機工学者、メーカー三者の密接な協力」が必須であると強調。このような次世代スパコンの登場によって、「さまざまな科学分野において技術革新が登場し、社会基盤全体の能力が向上するだろう」と予測し、講演を締めくくった。

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