限りなくゼロに近いダウンタイムを目指すITILを究める! サービスデリバリ編(1/3 ページ)

24時間×365日のシステムを運用していく上で、落ちないシステムを作ることは大きな課題だ。サーバのダウンタイムを可能な限りゼロに近づけるため、可用性管理は欠かせない。

» 2005年09月29日 08時30分 公開
[インフォリスクマネージ,ITmedia]

 インターネットの普及により、企業の基幹システムやECサイトなど24時間365日休みなく稼働するシステムが求められ、多くのシステム稼働率が99.99%や99.999%といった高可用性が求められている。利用するユーザーからすれば、システムはいつでも稼働しているのが当たり前と思うのは当然だろう。

 身近なところで考えると、新聞やテレビで話題となっている金融機関のATMの停止や、24時間×365日利用できるショッピングサイト、航空会社の予約システムなど、これらシステムにトラブルが発生すれば、利用しているユーザーに影響を及ぼすだけでは済まされない。受注システムが止まったとしたら、失われる利益は1秒あたり数千万円ということもありえるだろう。

 おそらく損害は、直接的なものだけにとどまらず、停止するたびにメディアに大きく取り上げられ、マスコミ各社はその企業のリスクへの不備を興味本位に書き立てる。その結果、企業信用の失墜は金額では計り知れないものになる。たった一度のトラブルで企業の存続さえも左右されてしまうこともあるのだ。

 人間というのは、一度感じた印象をいつまでも持ち続ける。印象を変えることは容易なことではない。システム利用時にたまたまシステムにトラブルが起きたら、その一回で印象が決まってしまう。オンラインでサービス提供している企業や担当者は、「たまたま」とか、「たった一回のトラブル」などとの言い訳では済まされないことを覚悟しなければならない。

「可用性管理」とは?

 可用性管理とは、その事業の要件を理解し、定められた期間もしくは定められた時点の中で、あらかじめ決定した要件に沿った可用性が満たされているかどうか、継続的に改善に努めることである。

 例えば、社内のファイルサーバの可用性管理を考えてみよう。通常の会社であれば、9:00頃〜18:00頃を勤務時間としているところが多いだろう。そこで、まず決定しなければいけないのは、この間の可用性要件である。サーバ利用者が勤務時間中に、サーバへアクセスできるかどうか、もしアクセスできなかった場合の事業へのインパクトなど考えた上で、ITサービスを設計する。

 9:00〜18:00が勤務時間としたら、20:00〜翌朝8:00までは可用性管理の対象期間としないなども考えなければならない。また、要件を満たすためには、どのくらいコストがかかるかも検討する必要がある。

 実際に可用性要件を決定するには、事業の可用性に対する要件と関連コストとを調整する必要がある。可用性管理はこの調整を繰り返し実行するプロセスともいえる。必要となるステップは次ページの通りだ。

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