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» 2005年10月03日 23時59分 UPDATE

これからは指静脈の時代? 日立が小型認証装置開発

日立製作所は、容積が従来比20分の1という小型指静脈認証装置の開発に成功した。ビジネス向けノートPCへの搭載などが予定されている。

[大津心,@IT]

 日立製作所は10月3日、指静脈認証装置の小型化に成功し、従来比で20分の1の容積を実現したと発表した。2005年度中には、この指静脈認証装置を搭載したビジネス向けノートPCをリリースする予定だという。日立製作所 中央研究所 知能システム研究部 研究主幹 宮武孝文氏は「他社の製品は、まだこの製品より数十倍大きい。この大きさを実現しているのは当社だけだ」と技術に自信を見せた。

禰寝氏 日立製作所 中央研究所 知能システム研究部 部長 禰寝義人氏

 指静脈認証は、指の背面方向からLEDの光を当てて、透過する光を測定することにより静脈パターンを識別する技術。指の静脈は、年齢による変化が少ないほか、体の内部にあるため、ほかの生体認証と比較しても偽造されにくい点が特徴となっている。

 同社では1997年から開発を進め、2000年に基本的な技術を確立。2003年には入退室管理製品を製品化、2004年にはPC向けにログイン認証装置をリリースし、いずれも指静脈認証製品でシェアトップを獲得しているという。2005年9月には指静脈認証機能を搭載した銀行ATMも稼働を開始した。

 今回、日立製作所が開発に成功した指静脈認証装置は、奥行き39ミリ、幅34ミリ、高さ15ミリで容積19.89ccを実現。従来の同社がリリースしていた製品で最も小さかったもの(PC向け指静脈認証ログイン装置)が容積約0.41リットルだったことから、約20分の1の小型化に成功した。小型化のポイントは、「光学方式を変更して上部にはみ出していた構造物を取り除くことに成功した点」(宮武氏)だという。

 従来の指静脈認証装における光学方式は、指の上側から光を当てて、その透過光を下部のカメラで識別する縦型方式や、側面に光源装置を設置する開放型方式だった。このため、どうしても指置台の上側に構造物が必要となってしまい、装置の高さ軽減のネックになっていたという。

 今回の装置では、下方に光源を設置して光を送り、指内部で光が内部散乱することを利用して静脈を透過した光を同じく下方に設置したカメラで識別するフラット型方式を採用した。これにより、指上部の構造物を取り除くことに成功し、20分の1の小型化を達成できたという。指紋を代表とするそのほかの生体認証との最大の違いは「認証の早さが最大のウリだろう。この製品では0.2秒で認証できる」(宮武氏)と語り、認証の早さがポイントあるとした。

試作機 今回発表した指静脈認証装置を内蔵したノートPCの試作機。実際に指静脈認証もデモしていたが、高速に認証できていた印象を受けた
認証装置見本 指静脈認証装置の見本。今後さらなる小型化を目指すという

 この装置をベースに、指静脈認証装置を内蔵したノートPCを2005年度中にリリースする予定。さらに、2008年度以降には携帯電話にも内蔵したいとしている。ただし、携帯電話に内蔵するためには「いまの大きさの4分の1から5分の1の大きさにさらに小さくしなければ搭載できないだろう。バッテリ問題を考慮し、認証時にだけカメラを起動するなどの工夫も必要だろう」(宮武氏)と語った。

 日立製作所 中央研究所 知能システム研究部 部長 禰寝義人氏は、「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)が本格施行されたことや、ノートPCの盗難・紛失が多発していることなどから、生体認証の重要性/必要性が増している。今回の開発によって、ノートPCなどの、これまで不可能だった小型製品への搭載が可能になった。今後もさらなる小型化を目指して開発を続けていきたい」と今後の抱負を語った。

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