SOAの何が新しいのか?SOAでつくる変幻自在の情報システム(4/4 ページ)

» 2005年11月07日 08時51分 公開
[渡邉利和,ITmedia]
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Webサービスは「サービスありき」

 サービスの粒度の問題は、再利用性に影響を与えることになるため、「SOAでサービスコンポーネントの再利用性を向上」といううたい文句の真偽も問題になってくる。SOAがWebサービスの技術を使っている以上、直面する問題点や困難もまた、同じものになるはずなのである。

 実は、WebサービスとSOAの大きな違いは、この問題に関連して生じていると考える。Webサービスでは、「インターネット上に存在するサービスをまとめ上げる」という発想で語られた。つまり、まずサービスありき、である。

 しかし、実はSOAはそうではないといっていいだろう。SOAの場合は、新たに実現したいビジネスプロセスが先にある。そして、そのビジネスプロセスを実現するために流用可能な機能が既存のアプリケーションの中に実装されていれば、それを「サービス」として切り出して使いましょう、という発想だ。まずサービスありきという前提だと、そのサービスが実際に使えるものかどうかの検証が不可欠になるが、逆に使えるものを探すという発想であれば、その点は問題にならなくなる。

 現時点で、SOAはWebサービスのようにインターネット全体をいきなりターゲットに据えるのではなく、まずは企業システム内部の改革、というアプローチを採用している。であればこそ、既存のIT投資を活用してあるものをうまく使いましょうというメッセージにもなる。

 同時に、必要な機能を見つけ出してサービス化することも、どこかのだれかが提供しているサービスとは違って、自社の判断で自由にできる余地が大きいだけに対処が簡単になる。この、発想の方向を180度反転させて現実的なメリットを追求している点がSOAとWebサービスの違いであり、だからこそ現実的な効果を生む可能性が高いのである。

 この認識を前提として、以後数回に分けてSOAの現状を確認していきたい。

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