次世代の小型情報端末で変わる仕事の効率次世代のITオフィス環境を考える(1/3 ページ)

業務効率を改善するためのツールとして、小型情報端末の未来を見てみよう。ただし、利用するテクノロジーはすでに実現されているものばかりであり、いかにうまく組み合わせるかがポイントになっている。

» 2005年11月11日 08時00分 公開
[下村恭(ハンズシステム),ITmedia]

 ノート型パソコンが小型高性能化していく一方で、PDA(Personal Digital Assistance:個人用携帯情報管理端末)や携帯電話などの小型情報端末も同様に小型高性能化している。だが、こうしたパソコンと小型情報端末の間には大きな隔たりがあり、将来もこの二者が一つに融合されていくことは難しいだろう。その理由の一つは、パソコンの小型化に限度があることだ。

 パソコンがPDA並みに小型化されない理由は、入力デバイスにある。キーボードからの入力を主体としているパソコンの大きさは、無理なくタッチタイピングができるキーボードのサイズに依存してしまう。一方、PDAや携帯電話などの小型情報端末は、入力デバイスとしてキーボードを重視しない。タッチパネルであったり、せいぜい20個程度のボタンで操作できるようにしてある。このため、ユーザーからの文字入力の量が端末の使い勝手という形で影響し、すみ分けがなされているというわけだ。

 さらに、表示できる情報量の問題もある。キーボードの大きさと同じ程度のディスプレイであれば、10インチ以上のサイズを確保できるため、見やすい大きさでそれなりの情報量を表示できる。しかし、携帯電話では通話が主体となるため、端末の大きさも片手に収まるようでなければならない。そうなると、必然的にディスプレイ部の大きさも数インチに収めなければならず、表示できる情報量も限定されてしまう。もちろん、高精細な液晶画面などを使うことでより情報量を増やすことも可能だが、見やすさという面で不利だ。

 現状では、まとまった量の情報入力が必要な場合はパソコンが、通話主体で付加的な情報が必要な場合は携帯電話が、そしてその中間的位置づけとしてPDAが利用されている。だが、PDAと携帯電話の境目は少しずつあいまいになっているようだ。携帯電話が高性能になり、それを利用するユーザーも、少ないボタンでの入力に抵抗がなくなりつつある。また、PDAの主な機能であるPIM機能が取り込まれるなど、携帯電話のPDA化も進んでいる。

 多くのPDAではスケジュールやアドレス帳などの情報をパソコンと共有できるようになっているが、携帯電話のPIM機能でも同様にパソコンとデータの共有が可能だ。さらに、WordやExcelといったアプリケーションのデータファイルを扱えるようになったことで、ますますPDAの領域に侵攻しつつある

 逆のアプローチもある。PDAに通話機能が搭載される動きだ。無線LANやIPテクノロジーの進歩と普及で、PDAをIP電話端末として利用するケースが増えてきている。もともとPDAの持つ表示できるデータ量の豊富さと、タッチパネルなどによる入力の容易さ、使用できるアプリケーションの質などから、携帯電話よりもPDA+IP電話の方が利用価値が高い場面もあるためだ。

 もちろん、表示デバイスの大きさや電池の持続時間などの問題がないわけではないが、今後はよりPDAと携帯電話の融合が進んでいくに違いない。

次世代の小型情報端末でどのように仕事が変わるか

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