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» 2005年11月22日 21時10分 UPDATE

知の遺伝子変化がイノベーションを促進する――ORF 2005が開催

新しい知を求めて走り続けるSFCが「SFC Open Research Forum 2005」を開催した。未来を考えるにあたって、ぜひ参加したいイベントだ。

[西尾泰三,ITmedia]

 11月22日から23日の2日間、慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)のSFC研究所が主催するフォーラム「SFC Open Research Forum 2005」(ORF 2005)が六本木アカデミーヒルズ40で開催されている。初日となる11月23日の会場の様子をリポートしよう。

 2005年のテーマは、「レッドクイーンの法則−知の遺伝子変化を加速せよ−」。展示会場内の各ブースでは、SFCの研究室たちの研究テーマを目にすることができる。「日本語プログラミング言語『言霊』」のようにプログラミング環境が公開されていると思えば、すぐ近くでは「流産を体験した女性とその配偶者による相互支援グループの活動」についての展示が行われているなど、その内容は多種多様なものとなっている。

 六本木アカデミーヒルズ40の入り口では、Eliicaが2台展示され、多くの人の足を止めていた。Eliicaは、慶應義塾大学環境情報学部の清水研究室が進めている電気自動車開発プロジェクト(関連記事参照)。ポルシェをも凌駕する動力性能を持つこの電気自動車、展示されているものはナンバーが取得されており、コンセプトカーの域を超え、いよいよ商品化も見えてきたようだ。

Eliica 六本木アカデミーヒルズ40の入り口で展示されているEliica

 奥出研究室(環境情報学部教授の奥出直人教授)のブースでは、多くの研究成果が展示されているが、その中の一つとして円筒形のデバイス「BiblioRoll」が目を引く。このデバイス、あえてくくれば電子ブックだが、本棚のように本の背表紙が並ぶ画面から読みたい本を選ぶことで、その内容が表示される。本同士の関連を定義することも可能となっている。「巻物をイメージした」と話すのは、同研究室の柴田樹さん。プロトタイプは水筒程度の大きさだが、実際に動作するなど、多くの観客の足を止めていた。

tn_fig3.jpg 奥出研究室のブースより。このデバイスは回転させることでスクロールする
tn_fig1.jpg

 また、興味深いのは環境情報学部専任講師の脇田玲氏の研究成果だ。同氏は、環境情報を取得してアクションへつなげるフィールドセンシング技術に関する研究を行っているが、その成果物として、「Wearable Synthethis」という、ウェアラブルコンピューティング関連を用いた新たなファッションが提案されていた。一見普通の衣服だが、体温や周囲の音、さらには周囲の色に応じて素材の色が動的に変化する。ウェアラブルコンピューティングがファッションへも展開していくことを期待させる研究だった。


tn_fig2.jpg 脇田研究室で展示されていたバイオメディアデザイン関連の展示。データベース上の情報を基に植物へ光や水を供給するデバイス。例としては彼女とのメール回数が減ってきたら植物が枯れてしまう……などが考えつくが、都市計画などへの応用も期待できる

 そのほか、政策・メディア研究科の小檜山賢二教授の研究では、「食卓」を再定義しようとしている。プラズマディスプレイを組み込んだテーブルを用意し、センサーを介してその上に置かれたものの情報を表示させていた。この研究が進めば、食材の産地などの情報も表示可能となると思われる。家族がそろって食事をするという光景を目にする機会がなくなって久しい感もあるが、食卓での会話を弾ませるかもしれないこの研究には期待したい。

tn_fig4.jpg 小檜山研究室のブースより。コップの下部にセンサーが取り付けられており、温度やRGB情報などを取得している。未来の食卓はこのようなものになるのだろうか

 ここでは比較的写真が映えるブースを取り上げているが、そのほかのブースも知的好奇心を刺激するものが多い。インターネットから人間の意味世界を読み解こうとする研究、机上での作業履歴を基にした作業状態想起支援に関する研究など、先端研究のさらに最前線を目にできる。

 そのほか、ORF2004同様、今回もRFIDを活用したイベント運営が行われている。会場内にはRFIDインフラが整備され、ブースの来訪者の可視化などに役立っていた。前述の脇田研究室でも「ORF Paravision」と呼ばれるRFIDを用いた動的なサインインシステムを発表している。同システムでは、来場者全体の傾向を可視化することで、人気のあるブースを見つけたり、個人の行動履歴などから、まだ訪れていないが興味に合致するであろうブースの表示を行っていた。

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