AMDとIntelはセキュリティ技術と仮想化技術の開発を進めており、来年初めには、これらの技術を搭載した製品が登場する見込みだ。オンチップ技術はソフトウェアベースの仮想化とセキュリティの改善と簡素化というメリットをもたらす可能性があるという。
Advanced Micro Devices(AMD)とIntelでは、セキュリティ技術と仮想化技術の開発を進めており、来年初めには、これらの技術を搭載した製品が登場する見込みだ。
両チップメーカーは、単にプロセッサを製造するだけでなく、自社のチップアーキテクチャをベースとしたプラットフォームを開発するという戦略をそれぞれ推進している。両社の戦略において、セキュリティと仮想化は重要な技術要素として位置付けられている。
ユーザーらによると、こういったオンチップ技術は、ソフトウェアベースの仮想化とセキュリティの改善と簡素化というメリットをもたらす可能性があるという。
ジョージア州カルフーンにあるMohawk IndustriesのISディレクター、ジェビン・ジェンセン氏は、「仮想化技術がチップに実装されれば、より多くのWindows用およびLinux用アプリケーションを仮想マシン上で動作させることが可能になる」と話す。Mohawk Industriesでは、AMDとIntelベースのサーバを運用しているという。
「われわれは仮想化ソフトウェアメーカーのVMwareの製品を愛用しているが、それぞれの仮想マシンからもっと高いパフォーマンスを得ることができれば素晴らしい」(ジェンセン氏)
オンチップ技術に関してジェンセン氏は、「テープにバックアップしながらリアルタイムでデータの暗号化ができれば便利だ。バックアップデータをすべて暗号化すると膨大なオーバーヘッドが生じるため、特定の種類のデータしか暗号化することができないのが現状だ。そうでないと、バックアップにかかる時間が途方もなく長くなってしまうからだ」と話している。
カリフォルニア州サニーベールに本社を置くAMDの幹部はeWEEKの取材に答え、オンチップのセキュリティおよび仮想化技術(それぞれ「Presidio」および「Pacifica」のコードネームで呼ばれている)は来年、Opteronプロセッサに搭載される予定だと述べている。
AMDのマイクロプロセッサ事業部のマーティ・セイヤー副社長兼ゼネラルマネジャーは、「仮想化とセキュリティは、企業がデータセンターで抱えている問題の一部を解決すると多くの人々が期待している」と話す。
AMDによると、セキュリティ技術のPresidioは、Microsoftが開発中のWindows Vistaの機能を利用するという。
AMDが採用する手法の中で特に注目されるのは、メモリコントローラを「仮想化対応」にするというもので、これによりプロセッサは、任意のマシン上で仮想アドレス空間同士の間に強固な境界を設けることが可能になる。
Presidioはこの手法により、クラッカーがCD上あるいは別のパーティションからマシンを強制的に起動させ、特殊なツールを使ってマシンのメモリの内容を読み出すといった攻撃を防止することもできる。
将来的に、Presidioにはほかの防護機能も組み込まれる予定だ。例えば、マウスやキーボードなどの入力デバイスとOSとの間の通信チャネルのセキュリティを確保する機能などである。こういった防護機能はOSの機能に依存する。Microsoftでは、「Next-Generation Secure Computing Base」と呼ばれる広範なセキュリティ機能をVistaに組み込む予定だ。
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