セカンドステージに入ったLPI、年内にレベル3試験も開始か

LPIの社長兼CEO、ジム・レイシー氏が来日、同団体の2006年における動向について語った。レベル3試験も年内に受験可能になるかもしれない。

» 2006年01月18日 22時20分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 Linux技術者の認定試験「LPIC」を実施する特定非営利活動法人「LPI」(Linux Professional Institute)の社長兼CEO、ジム・レイシー氏が来日、同団体の2006年における動向について語った。

レイシー氏 「(LPIは)認定組織ではあるがそれだけではない。これまで培ってきた手法をIT業界以外へも働きかけていくなどする時期となった」とレイシー氏

 すでに同団体の発足から8年近くが経とうとしているが、2005年11月にLPI本部の社長兼CEOに就任した同氏は現在のLPIを第2ステージへの移行期にあると話す。Linuxが市場で拡大し成長するために必要なものが認定制度であるという考えからLPICの普及啓蒙に努めてきた第1ステージから、内外から理解されるような確固たる戦略を持ち、唯一無二の存在であると認められるよう、これまでとは違った方法で進めていくと話す。LPIでは、具体的な18の戦略的目標を掲げ、その戦略マップを現四半期中にも公開予定だとしている。

 具体的なアクションプランとしては、北米、南米、欧州などエリアごとにエリアマネージャーを設置、各国に置かれた支部との関係強化を図ることなどが示された。このうち、アジア圏での取り組みについては、日本と中国を重要な地域と認識し、両国にエリアマネージャーと同レベルのマネージャーを配置するという。

 日本を重要と考える根拠は大きく2つ。一つは日本におけるLPICの受験者数が、全体の半数以上を占めていること。Linux市場の拡大に合わせ、LPICの受験者数も増加してきた。グローバルで見ると現時点で約10万6000人の累積受験者数のうち、半分以上を日本が占める(関連記事参照)

 そしてもう一つは認定試験に求められるニーズを考えたときに、日本で求められるものが技術的に高度であるという点だ。具体的には、現在のLPICでは十分にカバーされていないカーネルやデバイスドライバに関する部分である。この部分をカバーすることになるLPICレベル3は、LPI-Japanが主導で策定が進められている。

 「早ければ、いや、“必ずや”年内に日本国内でLPICレベル3の試験を開始したい」(レイシー氏)

 このほか、Linuxに関する“土台”の認定試験としてLPICレベル1をブランディングしていくとともに、Linuxを発展させるベンダーニュートラルな認定制度に賛同するベンダーやLinuxディストリビュータとの連携も進める。この4月にはUbuntuの資格試験と連携するプランも決定しているという。また、ユーザーからの声を評価するアドバイザリカウンシルも、ビジネス面の課題を扱うものと、テクニカル面の課題を扱うカウンシルを分けるなどしたという。

 認定が単なる道具に過ぎないと考えると、こうした認定の意義を疑いそうなものだが、こうした見方に対しレイシー氏は、ある資格雑誌(CertMag)が2005年に世界170カ国、3万5167人のITプロフェッショナルを対象に行った調査で、LPIC保持者の平均給与はほかのLinux資格を保持した場合に比べ、最も高いものになっている例を挙げ、その意義を示すとともに、LPICがベンダーニュートラルな認定試験であることが支持されている証拠だとした。

LPI-Japanの理事長である成井弦氏も同席した

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