64ビット化が進むプロセッサ事情。当初は、開発者が32ビットアプリケーションをItaniumへと移植することに搭載されていたハードウェアベースの32ビット機能が、次期Itanium 2で外される予定だ。
Intelが開発中の次世代のItanium 2チップでは、64ビットプロセッサ上で32ビットアプリケーションを動作させるためのハードウェア回路がなくなり、その役割は同社のエミュレーションソフトウェアに任されることになる。
カリフォルニア州サンタクララに本社を置くIntelの広報担当者、エリカ・フィールズ氏によると、デュアルコア型の「Montecito」プロセッサは、このハードウェア回路を備えない初のItaniumプロセッサになるという。
2年余り前に初めてItaniumに採用されたIA-32 Execution Layerは、ハードウェアベースの機能と比べてパフォーマンスと柔軟性に優れることが明らかになった。
IntelがItaniumに32ビット機能を組み込んだのは、開発者およびユーザーが32ビットアプリケーションを64ビットプラットフォームに移行するのを手助けするためだった。
Itaniumは32ビットアプリケーションを実行できるものの、そのパフォーマンスは64ビットアプリケーションには及ばない。
「何人かのエンドユーザーに話を聞いた結果、Itanium上で32ビットアプリケーションを動作させるというのは、一般的な利用形態ではないことが分かった」とフィールズ氏は話す。
「64ビット版Xeonが登場したことで、そういった利用形態の一般性がさらに低くなった」(同氏)
Intelの技術者たちが32ビットハードウェア回路を外すことを決めたのは、デュアルコア、ハイパースレッディング、オンチップ仮想化などの技術を実装するための場所をシリコンチップ上に確保するためである。Montecitoは、デュアルコアやIntel Virtualization Technologyなどの機能を搭載する初のItaniumプロセッサとなる。
カリフォルニア州ヘイワードにあるPund-IT Researchのアナリスト、チャールズ・キング氏によると、今回のIntelの方針は理にかなっているという。
こういった32ビット機能の大部分は、少なくとも当初は、開発者が32ビットアプリケーションをItaniumプラットフォームに移植するのを手助けすることを目的としていた」とキング氏は指摘する。
「これによって開発者が得られるメリットはすでに失われた。移植すべきアプリケーションは、もうそれほど多くない」(同氏)
IntelとHewlett-Packard(HP)は1994年、後にItaniumプロジェクトへと発展する取り組みに着手した。このプロジェクトは、x86アーキテクチャのみならずRISC技術もリプレースするプロセッシングプラットフォームの開発を目指したものだった。
しかしItaniumプロセッサは当初から、パフォーマンスの低さや開発の遅れといった問題でつまずき、その後も、64ビット機能を搭載したx86プロセッサが出現したことが普及の障害となった。64ビット対応x86プロセッサの第1号は、カリフォルニア州サニーベールに本社を置くAdvanced Micro Devices(AMD)が2003年に投入したOpteronチップである。
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