ASP.NETの次期バージョンでAJAX開発を本格サポート(1/2 ページ)

ASP.NETの次期バージョンではAJAXがサポートされる。AJAXは、Flashなどのプラグインなしでブラウザアプリケーションの双方向性と応答性を高めることができ、注目を集めているWeb技術だ。

» 2006年02月15日 00時00分 公開
[Greg DeMichillie,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 ASP.NETの拡張技術「Atlas」(コード名)のプレビュー版は、AJAXのサポートなど、ASP.NETの将来の進歩の一端を垣間見せている。AJAXは幾つかのWeb技術を組み合わせたもので、Flashなどのマルチメディアプラグインなしでブラウザアプリケーションの双方向性と応答性を高めることができ、人気を呼んでいる。Atlasは、2007年初めにVisual Studio“Orcas”の一部としてリリースされる予定のASP.NETの次期バージョンに統合される。

ブラウザアプリケーションの高機能化を実現するAJAX

 開発者はアプリケーションのユーザーインタフェース部分の構築方法を決めるのに苦労することが多い。従来のシッククライアント(デスクトップアプリケーション)は、一般にパフォーマンスが高く、機能も豊富で、ネットワークに接続していないときも動作させることができる。一方、シンクライアント(ブラウザアプリケーション)は、導入展開とアップグレードを中央から行うことができるほか、幅広いハードウェアやOS間で互換性がある。

 AJAX(Asynchronous JavaScript and XML)は、シンクライアントの機能を強化すると同時に、その魅力となっている導入展開の容易さと幅広い互換性を保つ1つの方法だ。AJAXアプリケーションでは、視覚的にアピールするインタフェースを提供するCSS(Cascading Style Sheets)のようなHTMLの補完技術と、Webページ全体を更新することなくサーバから新しいXMLデータを取得する機能が組み合わされている。バックグラウンドでXMLデータの取得に使われるブラウザAPIは、XMLHttpRequestと呼ばれるものだ。XMLHttpRequestはInternet Explorer(IE)6.0でActiveXコントロールとして実装されている(AppleのSafariやMozilla FirefoxはこのAPIをネイティブに実装しており、IE 7.0もこれに続く予定だ。これにより、このAPIはIE 7.0では、ActiveXコントロールがセキュリティ上の理由で無効にされている環境でも利用可能になる)。

 従来のブラウザアプリケーションでは、表示を更新する場合、ブラウザがWebサーバに改めてリクエストを発行する必要があり、Webサーバはページ全体を更新する。例えば、ホテル予約サイトがユーザーに、どの都市のホテルを探すかを選択する機能を提供するとしよう。そうした機能を実装する1つの方法は、国名のドロップダウンリストを用意し、ユーザーが選択した国の都市リストを表示することだ。AJAXを使用しない場合には、都市リストを表示するにはページ全体を更新する必要があり、データの取得中は、ユーザーは操作を中断することになる。AJAXを使用した場合には、ページ全体の更新は行われず、都市リストは瞬時に取得されて表示される。つまり、AJAXによって多くの場合、シッククライアントアプリケーションと遜色ない高いパフォーマンスと機能性を発揮するシンクライアントアプリケーションを構築することができる。

AJAXが今注目されている理由

 IEは1999年のIE 5.0のリリース以来、XMLデータをバックグラウンドでダウンロードする機能を提供してきた。だが、ほとんどのWeb開発者、とりわけ公衆インターネット対応アプリケーションを作成する開発者は、特定ブラウザに依存する技術をほとんど使わず、幅広いブラウザで動作することが分かっている機能だけを採用する。Mozilla FirefoxやAppleのSafariなど、ほかのブラウザがXMLHttpRequest APIをサポートするようになって初めて、Web開発者は目を向け始めた。

 AJAXが広く注目されるようになったきっかけは、Googleが地図サイトのGoogle Local(当初の名称はGoogle Maps)を公開したことだった。Google Localでは、ユーザーが地図ウインドウでカーソルをドラッグすると、それに応じて地図の新しい部分が表示される。AJAXを使用していない地図サイトはこうした双方向性を提供しない。例えば、Expedia Maps、MapQuest、Yahoo Mapsでは、ユーザーは矢印をクリックするたびに地図をダウンロードし直し、Webページ全体が更新されるのを待たなければならない。Microsoftは先ごろ、独自のAJAXベースの地図サイトであるWindows Live Local(当初の名称はVirtual Earth)を公開している。

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