ASP.NETの次期バージョンでAJAX開発を本格サポート(2/2 ページ)

» 2006年02月15日 00時00分 公開
[Greg DeMichillie,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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ASP.NETをAJAXに対応させるAtlas

 MicrosoftはAtlasにより、AJAXアプリケーションに通常必要な次のようなビルディングブロックを提供し、AJAX開発を簡素化することを目指している。

  • XMLHttpRequest APIへのアクセスなど、よく使われる機能を提供するとともに、ブラウザ間の違いを吸収しやすくするクライアント側JavaScriptのライブラリ
  • スクリプトライブラリを使ってより優れたユーザーインタフェースを提供するコントロール
  • XMLリクエストに応答するコード(リクエストを外部Webサービスに送るコードなど)を記述するのに役立つサーバ拡張

 例えば、Atlasはテキストフィールドのオートコンプリート機能を拡張し、ユーザーがタイプ入力している途中で、アプリケーションが入力内容に基づいてWebサービス経由で入力候補リストを取得し、ドロップダウンリストとして表示することを可能にする。ホテル予約サイトでAtlasを使えば、ユーザーが目的の都市の最初の3文字をタイプすると、その3文字で始まる都市のリストを取得してドロップダウンメニューで表示するといった予約アプリケーションを作成できる。こうしたアプリケーションは使いやすく、サーバに何度もリクエストを送らずに済み、多様なブラウザやOSに対応する。

ASP.NET“Atlas”によるオートコンプリート
 上の図は、Atlasによるオートコンプリートフィールドを使ったサンプルアプリケーションを示している。ユーザーが編集フィールドに文字をタイプ入力すると、クライアント側JavaScriptが有効な入力候補のリストをリクエストする。これを受けてASP.NETがWebサービスを利用して有効な候補のリストを取得し、ページ全体を更新してユーザーの操作を中断させることなくブラウザに返す。

 MicrosoftはAJAX開発を容易にすることで、これまでもかなりの成功を収めてきたWebサーバ/ツール市場で一段とシェアを伸ばせるかもしれない。だが、Webアプリケーションの魅力を高めるAJAXは、Windowsフォームや新開発のWindows Presentation FoundationといったMicrosoftのクライアント技術と競合している。Microsoftは今のところ二面作戦を取り、従来どおりシッククライアント技術の価値を強調すると同時に、その導入展開の困難さを克服しようと取り組む一方で、シンクライアントの魅力を高め、開発を容易にするツールも開発している。

Atlas対応ツールはVisual Studio“Orcas”待ち?

 AtlasはASP.NET 2.0の拡張技術であり、現在プレビュー版が提供されている。2006年にリリースされる予定だ。Atlasの機能は、Visual Studioの次期バージョン(コード名:Orcas)の一部として2007年第1四半期にリリースされる予定のASP.NETの次期メジャーバージョンに搭載される。

 Atlasをサポートするツールの提供開始時期は不明だ。MicrosoftはVisual Studioか、あるいは現在開発中のグラフィックツールであるExpressionをベースにしたツールを暫定的に投入するかもしれないが、開発者は包括的なツールセットを入手するには、Visual Studio“Orcas”のリリースを待たなければならないだろう。

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