エンタープライズコンテンツ管理の将来を占うInterview(2/2 ページ)

» 2006年02月16日 12時49分 公開
[聞き手:丸山隆平,ITmedia]
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ITmedia 業務を推進する上での望ましい文書管理の在り方は?

壺阪 今まで「紙がオフィスのスペースを占めている。だから電子化してスペースを節約しましょう」というレベルから、中身の問題に入ってきました。事業を継続するため、業務ノウハウを共有できる形で記録にしておかないと、「2007年問題」と言われる団塊世代の大量の定年退職に対応できません。しかし、現状は、整理整とんの習慣が身についていません。外部から要求されているから仕方なく行うというレベルで、社内の人は、本当は面倒な整理整とんをやりたくないと考えているのでしょうね。

ITmedia 壺阪さんのような専門企業の出番は多くなりませんか?

壺阪 そのはずですが、現状は企業が自助努力で文書管理を行っており、文書管理自体を社員に習慣づけたり、ITを活用して改善や改革を行おうという段階にないように思います。何か事件が起きたらその部分だけ行い、ISO、ISMS(情報マネジメントシステム)などの認証を受けるため行うというレベルに過ぎません。そして、認証を取得してしまえば、それ以降は忘れてやらないという傾向にありますね。

ドキュメントのライフサイクルとロケーションを定める

ITmedia 具体的な文書管理の方法について解説をお願いします。

壺阪 紙と電子の一元管理フローは下図に示すとおりです。ここで重要なのは業務の分析調査から入ることにあります。そしてどの文書を残し、どれを捨てるかを明らかにするところにノウハウがあります。原本の保持のルール策定も重要で、それらによってドキュメントのライフサイクルと、どこに保存するかのロケーションを定める必要があります。

図1 紙と電子の一元管理フロー

ITmedia 紙と電子文書の使い分けはどのように行えばよいのでしょうか?

壺阪 過去文書で保存するものはスキャニングします。既存のサーバの中に入っているものは消去します。しかし、これは大変な作業になります。一度、紙で出力し、すべてを必要か不要かチェックすることになるわけで、億単位の予算でも対応できないかもしれません。

ITmedia コンテンツに関心が高まる中で、文書管理で注意すべき点は何でしょうか?

壺阪 結局、文書の「中身」が問題となるのですが、これはそのまま業務分析と同じことを意味しています。仕事と離れて、検索のための分類をつくることはできないからです。ISO15489(文書管理の国際標準)でも「分類はワークタイプで作成する」と定められています。



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