エンタープライズコンテンツ管理の将来を占うInterview(1/2 ページ)

日本企業が紙文書から脱却できない根本原因は、紙を保存していた方が結局は安全だという考え方にある、と指摘するのはトムオフィス研究所の壺阪龍哉代表。一方で、文書管理のテーマは情報の中身へとシフトしつつあるという。

» 2006年02月16日 12時49分 公開
[聞き手:丸山隆平,ITmedia]

 文書の電子化が進み、企業や官公庁における文書管理システム整備の重要性が高まっている。背景にあるのは、e文書法の施行や2008年に導入が検討されている日本版SOX法だ。文書管理が従来の管理業務改革や営業サポートなど間接的な仕事としてではなく、内部統制や危機管理など企業の根幹にかかわる業務として浮上してきた。

 1980年代、情報システム改革が「OA(オフィスオートメーション)」と呼ばれていた時代に、米国から「レコードマネジメント」手法を導入し、日本の実情に適したシステムを構築するなど、文書管理のエキスパートであるトムオフィス研究所の壺阪龍哉代表に企業における文書管理の現状について聞いた。

壺阪龍哉氏 トムオフィス研究所の壺阪龍哉代表

ITmedia オフィス内の紙と電子文書の比率について現状はどうなっていますか?

壺阪 全体をカバーするようなはっきりした統計データは存在しませんが、電子文書が増えていることは確かです。しかしながら、コピーが減少してもプリンタからの出力は増加しているので、紙も思うように減少していないのが現状です。

ITmedia オフィスでの文書管理の問題点は?

壺阪 紙の処理の仕方が下手だと、依然として紙が増えることになります。電子化が進んでも文書管理の習慣が変わらないと根本的には何も変わりません。社員の個人レベルでも、この文書が本当に必要か、不要な文書かの判断がつかない人が多い。会社も電子化して画面に表示するだけでは不安なため、どうしても紙に頼る。役割が終わったら捨てればいいのですが、結局「安全だ」ということで紙を保存しておくことになります。電子文書も同様に個人のPC内にたまっていく。電子文書も紙もたまるという状況です。

ITmedia 紙か電子化という媒体の違い以上に、情報の内容(コンテンツ)に着目した方がいいかもしれません。このようなコンテンツ管理の在り方はどのようなものですか?

壺阪 今までは紙そのものの管理がテーマでした。しかし最近では、紙に書かれているコンテンツに関心が移ってきているのは大きな変化と言えます。記載されている内容に評価を加える考え方が進み、内容に着目する本来の姿が生まれてきているのは確かです。日本版SOX法に関連して監査や内部統制の証拠能力として、また、裁判で訴えられたとき、訴えるときの証拠としてなど、「紙か電子か」に関係なく、その内容(コンテンツ)に関心が高まっています。

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