勢いづくXグラフィックス(1/2 ページ)

NovellはX.orgプロジェクトのためにXglフレームワークの改良とともにCompizコンポジット・マネージャをリリースしようとしている。いろいろあったが、Novellの貢献はコミュニティーに還元されようとしている。

» 2006年02月16日 17時42分 公開
[Joe-'Zonker'-Brockmeier,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine

 カリフォルニア州サンタクララで開催されるX.Org Developer's Conference(XDevConf)に何とか間に合うよう、NovellはX.orgプロジェクトのためにXglフレームワークの改良とともにCompizコンポジット・マネージャをリリースしようとしている。

 XglはOpenGL APIベースのXサーバ・アーキテクチャと位置づけられ、ハードウェアによるエフェクト・レンダリングを実現する。Compizコンポジット・マネージャは、簡単に言えば、Xglで実現される新たなエフェクトを追加するプラグインのためのウィンドウ・マネージャだ。

 ナット・フリードマン氏によれば、NovellのXglアーキテクチャは描画モデルをラスタモデルからベクタモデルへ移行するもの、今後10年から15年は実用に耐える「最新の」グラフィックス・モデルを提供するものだという。「当面これで大きな懸案事項は消えるので万事うまくいくだろう。この機能を提供するもう一つのOSはMac OS Xだけだ。理由は、ハードウェアと密に結び付いているからだが、われわれがやっていることもハードウェアを利用しているに過ぎない。Windowsはこれがまだ欠けている。われわれとしては、3Dグラフィックス・アクセラレーションの世界をプロプライエタリなソフトウェアに譲るつもりはない」

コミュニティーへのお返し

 Novellのデビッド・レイブマン氏がX.orgリストでXglの開発を発表したのは2004年11月。その後、彼はほぼ一人でこのプロジェクトと取り組んできた。そのことが開発者の間でちょっとした論争を巻き起こした。12月、KDE開発者のアーロン・セイゴ氏は、Novellの開発が「コミュニティーからまるで隔たっており、密室でことが進行している」との私見を披露した

 Xglの開発がコミュニティー・プロセスから外れたところで進行していることに何人かの開発者が不満を表明した。開発者の取り組むオープンソースプロジェクトが正規の経路から外れていると、しかもそれがソース・リポジトリの外で進行していると、2つのコードベースをマージするとき面倒なことが起こる可能性がある。例え会社がソースコードを丸ごと寄贈したとしても変更を統合するとき手を焼くことになる。

 あれこれ突っ込まれ、またOSDL Desktop Architectsリストの論争を受けて、フリードマン氏はNovellがXDevConfに間に合うようコードをリリースしようと目論んでいることを明かした。「ほぼ実用段階のものを見せてあっと言わせる」というのだ。

 「そうすれば、Xglが大々的に取り上げられ、これまで1年以上にわたって開発の責任を担ってきたNovellはその功績を認められる」

 先月、レイブマン氏はXglコードをX.org CVSに登録すべくリリースしたが、Compizはまだリリース段階でなく、XDevConfに間に合うようリリースすると表明していた。明日、彼はXDevConfでXglのプレゼンテーションを行うことになっている。

 この種の交流はオープンソースのコミュニティーに特有なものだとセイゴ氏は指摘する。「クローズソースの環境で、こうしたことはまず起こらない。せんないことだが、Microsoftに出向いて、『君たちがVistaを開発しているそのやり方が気に入らない。Windowsのプレゼンテーション層を開発者がもっといじれるようにすべきだ』と言ったところで、『あんた誰』と一瞥くれてお仕舞いだろう」

 いろいろあったが、結果的にとても満足しているとセイゴ氏は言う。「Novellの貢献はコミュニティーに還元されようとしており、コミュニティーはこれに再び参加できる。コミュニティー側の開発の言質も得ている」

 XglはLinuxデスクトップに魅力的なグラフィックスを提供するだろうが、フリードマン氏は「Xglの妙味が3D自体にあるわけではない」と言う。「それよりも3Dハードウェアのアクセラレーション機能を利用して、Linuxデスクトップの処理をもっと効率化することに意義がある」

 例えば、Xglでアニメーションの動きを滑らかにし、デスクトップを「より自然」にすれば、Linuxデスクトップの使い勝手が向上する。フリードマン氏は、Xglが実現する新たなデスクトップ・メタファーでデスクトップはより使いやすく、分かりやすいものになるとも指摘する。

       1|2 次のページへ

Copyright © 2010 OSDN Corporation, All Rights Reserved.

注目のテーマ