ルベット氏は、OracleによるSleepycatとInnobase買収は「オープンソースの勢いを弱めることになり、この状況はコミュニティーにとってもユーザーにとっても不利」だという。
特にMySQLには不利であり、「MySQL打倒以外の動機は考えにくい」と同氏は話す。
一方、Oracleの目的がMySQL打倒だという考えに反対する声もある。ジェレミー・ザウドニ氏は、Oracleの買収熱の狙いはMySQLだという意見に次のように反論する。
MySQLを追い込むという戦略だとしたら、ずいぶん短期的な見方だと思います。Oracleが考えているのは、5年先、企業規模のインフラソフトウェアコンポーネントの共有化が進んだときの世界がどうなるか、ではないでしょうか。いま行動しなければ、分け前は少なくなるだけだと予想しているのです。OracleがJBossそのほかを狙っているという噂も、こうした考えと完全に符合します。
“伝統的”なOracleソフトウェアを使っても使わなくても、次世代の重要なビジネスアプリケーションを作ろうする人にとってOracleがワンストップショッピングの場となることができれば、Oracleは新世界でも重要な位置を維持できるでしょう。そして、そこには同社の重要な収入源であるコンサルティングサービスも含まれます。
ミコス氏も次のようにいっている。「Oracleの企業買収の理由が、わたしたちに関係あるかどうかは分かりません。オープンソースに参加したいのかもしれないし、Microsoft、IBM、SAPと張り合うためかもしれませんが、わたしには分からないことです」
Oracleの動機がなんであれ、同社はその疑問に答えようとしない。電話および電子メールでコメントを求めたが回答はなかった。
オープンソース企業の買収はSleepycatで終わりではない。噂によれば、OracleはZendとJBossも狙っているいるというし、IBMやHPなどの大手IT企業もオープンソース企業買収を検討していることはほぼ間違いない。
特定のオープンソースプロジェクトに依存している企業は、そうしたプロジェクトが特定団体の気持ち一つで左右される可能性がないか、また、Sleepycat、JBoss、MySQL ABのように、出資企業の管理なしに存続可能な健全なコミュニティープロジェクトかどうか、良く検討すべきだろう。
Oracleの動きがオープンソースにとっていいか悪いか、何の影響もないかの議論は別として、Oracleにとっては賢明な行動であることにまず異論はないだろう。バーカス氏はこう話す。「ラリー・エリソンの立場だったらわたしも同じことをするでしょう」
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