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» 2006年03月17日 17時58分 UPDATE

「不確実性を科学的なアプローチによってモデリングする」――統計数理研究所の可視化新手法

統計数理研究所は、大量データに基づく予測や知識発見、計算推論などの分野で可視化手法を導入した。あらゆる分野で生じる不確実性を科学的なアプローチによってモデリングし、それに基づいたリスク評価・管理を行う上で重要な要素となる。

[西尾泰三,ITmedia]

 統計数理研究所(ISM)は3月17日、大量データに基づく予測や知識発見、計算推論などの分野で可視化手法を導入し、統計的データ解析の計算途中の可視化など、統計学の分野における新たな研究の取り組みを開始した。

Multi OptView

 同研究所は1985年に文部省の共同利用機関として発足、独立行政法人化に伴い2004年4月からは大学共同利用機関法人情報・システム研究機構の研究所として、多くの大学、研究機関と共同して研究活動を展開する国内唯一の独立研究機関。環境、生命、経済、災害など、さまざまな社会的問題にかかわる「現象のモデリング」をテーマに、大量データに基づく予測と知識発見、データ設計と調査、計算推論などの研究を行っている同研究所。統計科学計算用システムとして、大型コンピュータやスーパーコンピュータ、並列計算機など、常に先進の高性能コンピュータシステムを導入してきたが、さらなる統計手法の高度化を目的に、今回先進的な可視化マルチ表示システムを導入した。

 この可視化マルチ表示システムは、日本SGIの高性能可視化サーバを採用した「Multi OptView」。17インチの液晶モニタを16画面並べたもので、スーパーコンピューターの計算結果をマルチパイプの可視化サーバ「Silicon Graphics Prism」を介してリアルタイムに出力が可能となっている。

tn_fig5.jpg 同研究所のスーパーコンピュータ周りのシステム構成。このほかに物理乱数発生機なども存在する。
tn_fig7.jpg 1280×1024の解像度を持つモニタが16画面並べられ、さまざまな計算途中の状況を可視化する。このシステムを最も使用するとみられるのがモニタの横で報道陣に解説している同研究所副所長の樋口知之氏のグループだ

 同研究所は今回の可視化マルチ表示システムの導入によって、まず統計科学を推進するための新たな手法として非線形最適化手法を用いたパラメータ推定、粒子フィルタを用いた状態変化、データ同化計算などの途中可視化に取り組むという。こうした研究では、計算途中の状況を可視化して確認することで解析効率が高まると今回の可視化システムの意義が説明された。

北川氏

 「社会・経済がグローバル化した現在の情報社会では、さまざまな事象で不確実性が生じ、それがリスクとなっている」と話すのは、統計数理研究所所長の北川源四郎氏。続けて、「金融・保険におけるリスク管理や食品や医療の安全性や効果の評価、防災対策など、あらゆる分野で生じる不確実性を科学的なアプローチによってモデリングし、それに基づいたリスク評価・管理を行うことが必要」と述べ、統計数理研究所が過去に蓄積してきた統計解析手法やモデリング方法を基盤とし、リスクの計測・管理のための方法論を発展させる任を負うのが、2005年4月に設立したリスク解析戦略研究センターであると説明した。

 「リスク解析戦略研究センターで研究される統計数理の汎用性を生かし、リスク研究のNOE(Network of Excellence)を形成していくことが求められている」(北川氏)

 同研究所は今後、同サービスは共同研究環境を実現するソフトウェア「OpenGL Vizserver」を基盤に、所外のユーザーに対してもWeb経由で計算可視化サービスを利用可能にする計画となっている。

大規模な共有メモリのハンドリングで他社を圧倒する日本SGI

 HPC分野のうち、スカラー機においては、Itanium 2を搭載するサーバの選択率が高く、かつ、大規模な共有メモリを利用可能な日本SGIのAltixなどのサーバが選択されることが多い。最近では、東北流体研究所や日本原子力研究所といった研究機関など、Altixを中核としたシステム事例が幾つか報告されている(事例1事例2)。

tn_fig3.jpg 歴代のシステムがずらりと並ぶ。奥には「Silicon Graphics Prism」が見える
tn_fig4.jpg こちらはSGI Altix。中央は統計数理研究所副所長の田村義保氏

 統計数理研究所副所長の田村義保氏は、大規模の共有メモリを利用可能なソリューションでは日本SGIに一日の長があることを認めつつ、AMD Opteronのシステムも評価する。

 同研究所では、AMD Opteronを採用したHP Proliant DL145も導入している。「もちろん適材適所ではあるが、私たちが使うアプリケーションの幾つかにおいては、AMD Opteronのシステムで高いパフォーマンスが出ることがある」(田村氏)

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