ITIL導入をトータルでサポートするフレームワークとは?運用管理ツールで何ができるのか(1/2 ページ)

ITサービス運用の体系的ガイドラインであるITIL。これをどのようにして実際のシステム運用に適用するのかはITIL導入における課題のひとつである。NRIデータサービスの運用管理ソリューション「Senju Family」では、ソリューションのひとつとしてITILをベースにした運用管理を導入するSSMF(Senju Service Management Framework)を提供している。SSMFを利用することでどのようにITIL導入ができるようになるのかを見てみよう。

» 2006年03月30日 08時00分 公開
[真山孝一,ITmedia]

このコンテンツは、オンライン・ムック「運用管理ツールで何ができるのか」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


ITILを包括した運用管理導入フレームワーク「SSMF」

 「Senju Service Management Framework(以下、SSMF)」は、NRIデータサービスが自らITILを導入した際のノウハウをベースに、ITILのガイドラインに則し、より実用性を高めるため、「プロセス/プロダクト/ピープル」についてのノウハウを集約したフレームワークだ。

 ITILを導入することで、運用コストの削減や品質の向上、運用レベルの可視化などが実現できるとされている。しかし、実際に導入しようとした場合、ITILは理解しにくいという評価もある。その理由のひとつにITILにWhatはあるがHowがない、つまり実務的なことが定義されていないため、実際のシステム運用において、どのように適用すればよいのかが分からない、ということがあるだろう。また、運用の現場において日本企業では常識的な「オペレータ」という概念が含まれていないなど、実際の現場との乖離がある。

 NRIデータサービスは、社内でITILを意識した「運用プロセス改善プロジェクト」を実行し、ITILの導入に上記の効果があるということを実際に検証している。このプロジェクトの結果から、ITIL導入の「How集」として作成したのがSSMFだ。SSMFは、ITILをベースとしたITサービスマネジメント導入の際に従うべきプロセスのリファレンスモデルである「プロセス」、ITILを実際の現場で活用できるように組織、業務ルール、ポリシーなどのガイドラインを提供する「ピープル」、ITIL各プロセスを具体的な製品を用いて実現するための「プロダクト」の3つのフレームワークの総称である。SSMFを利用して実際の業務を分析し、これらのフレームワークをもとに再構築することで、ITILを最短6ヶ月で導入できるようにすることが可能になるという。

SSMFの核になるNRIの運用管理ツール

 SSMFのフレームワークを構成する要素のうち、プロダクトの部分で使用するツールはNRIデータサービスの自社開発製品群である。これらのツールは同社の運用チームからのリクエストと、顧客からの要望を受けて開発されている。自らもさまざまなシステムの運用管理を行っている独立ベンダーであるため、これらの製品群はマルチプラットフォーム/マルチベンダーな環境での運用管理を考慮した製品になっており、既存システムへの導入もスムーズに行える。

 核となる3つのツールである、システムを管理する「eXsenju」、システム運用からサービスと直結する部分までを担当する「Smart Enterprise Navigator(以下、SEN)」、そしてサービスデスクとなる「CONTACT CAFE」については管理者にトータルな運用管理を提供する千手ファミリーでも説明しているが、簡単に特徴的な機能を見てみよう。

 システム管理の中核になる運用管理ツール「eXsenju」では、運用管理の大きな位置を占めるサーバ監視において、マルチプラットフォーム対応のエージェントレス監視により、監視対象のサーバにエージェントなどのソフトをインストールする必要がないのが特徴だ。ジョブ管理面でもオフラインブラウザ機能によりジョブの実行スケジュールを開発環境で作成し、それを運用環境に設定できるなどの機能を備えている。

 SENには大量に上がってくる監視システムからのメッセージにルールを与え、必要なものだけを選択するフィルタリング機能が実装されている。これにより、管理者は膨大なデータから障害などに関する情報を分析する必要がなくなり、人件費の節約やミスの軽減、高精度な運用が可能になる。

 CONTACT CAFEはインシデント管理機能をメインとするサービスDBで、ほぼすべての企業に必要なコンソールが確定しているため、これまでのような「細かい機能の作り込みが」不要になっている。

 これらの製品を用いることで、テクノロジマネージメント、オペレーションマネージメント、戦術的マネージメントまでをバランスよく実行できる。これまで行っていた業務を自動化し、効率アップとコスト削減が両立できる(図1)

図1 各製品のSSMF上での位置づけ
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