現場力を鍛えるBI活用に立ちはだかる壁現場力を鍛えるこれからのBI:(1/3 ページ)

前回、BIを現場の実務に直結した形で利用する傾向が強まっているという説明をした。今回は、そうした傾向に水をさす、組織的な問題について論じてみたい。内部統制など経営の透明性を図るためにもBIの利用は今後、不可欠なものになっていくと考えられるが、ツールを導入すれば全てうまくいくというものではない。情報活用につまづいてしまう落とし穴を探る。

» 2006年04月07日 07時00分 公開
[村上 敬,アイティセレクト編集部,ITmedia]

積極活用派と無関心層の混在

 BIの現場利用が進んでいるという傾向を考えると、BIそのものの関心は高まり、無関心層は減少傾向にあると理解しがちだが、実はそう簡単な話ではない。図2を見てほしい。ガートナーの調査資料だが、右側の「関心なし」「BIを知らない」という層が、関心を寄せている層と同じく増えつつあるのだ。これはさまざまな原因が考えられるが、ガートナーのソフトウェアグループ、ビジネス・インテリジェンス担当 主席アナリストの堀内秀明氏は次のように分析する。

「注意しなければいけないのは、『BIを知らなくても、実質的にBIに関する取り組みを進めているかもしれない』ということです。BIを知らなくても、自然とうまくデータを活用されている企業もあれば、逆にBIを導入しているものの、十分な成果が出ないと悩んでいる企業も存在するでしょう。ただし、BIでは何をどのようにすれば成功しやすいのかを知っているか、知らないかでは当然効果に差が出てきます。本質をおさえて、着実にデータ活用を進めていけば、期待した成果を得ることができる可能性も上がり、企業のパフォーマンスや進むべき方向についての見通しも良くなるのではないかと推察します。逆に、やみくもに多機能なツールのみ導入しても、十分な成果が得られず、そのようなツールやベンダーに対する不信感が生まれ、IT不要論的なものが支配的になってしまう可能性も否定できません」

図2 日本におけるBI導入率の変化
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