夏の正式版リリースに向けてβテストが進められているAdobe Flex 2.0のプレスブリーフィングが行われた。データ接続のためのサービス群が大幅に拡充されている。
アドビシステムズは4月14日、都内のオフィスで「Adobe Flex 2.0」のプレスブリーフィングを行った。
旧マクロメディア製品だったFlexは、FlashベースのWebアプリケーションを構築するための開発フレームワーク。FlashのスキルがないJavaデベロッパーでも、リッチなユーザー体験を提供できる「リッチインターネットアプリケーション」(RIA)を開発できる。現在、バージョン2.0のβ2がAdobe Labsで公開されており、正式版は夏のリリースが計画されている。
「RIAは、配布性や保守性に優れ、なおかつ豊かなユーザー体験を提供できる。『エクスペリエンスエコノミー』という著作にあるとおり、顧客が忘れられない経験を与え続けられる企業やビジネスモデルでなければ生き残れない」と話すのはマーケティング本部長を務める伊藤かつら氏。
マクロメディアの買収を完了したアドビは、「人とアイデア、人と情報のかかわりを変革するためのプラットフォームを提供する」というミッションを新たに掲げているが、後者、つまり「人と情報のかかわり」を担う中核製品がFlexといっていい。既存のビジネスロジック層やインテグレーション層に手を加えることなく、人がかかわるプレゼンテーション層を強化し、RIAを実現してくれるエンタープライズ向けの製品だ。
Flex 2.0は、Eclipseベースの開発環境である「FlexBuilder 2.0」と、データ接続のためのサービス群である「Flex Data Services 2.0」から構成されている開発フレームワークだ。従来バージョンでは、デザイナー向けのDreamweaverをベースとしていたFlexBuilderだが、2.0では開発者に馴染みのあるEclipseベースへと移行した。
Flashの豊かな表現力を簡単に活用できる機能強化もさることながら、従来バージョンと比べて約10倍の高速化や、豊富なデータ接続のためのサービス群、Flex Data Services 2.0がFlex 2.0の大きな魅力だ。このデータ接続サービス群は、Macromedia MAX 2005カンファレンスでは、「Flex Enterprise Services 2」と呼ばれていたものだ。現行のFlex 1.5は、RPCサービスだけだったが、大幅に拡充されている。
この日のブリーフィングでは、クライアントやシステムからデータ入力をプッシュ型でサブスクライバーに配信する「メッセージサービス」や、データベースが更新されたら、そのデータを各クライアントに送信する「データマネジメントサービス」がデモされ、その可能性の一端を見せた。
機能強化とは異なるが、SDKやこうした開発版サーバが無償化されたのも開発者らには歓迎されるだろう。
また、米Adobeでは3月下旬、Flex資産とAJAX資産を組み合わせてリッチなWebアプリケーションを構築する「Adobe Flex-Ajax Bridge」もAdobe Labsで無償公開している。
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