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» 2006年04月28日 08時30分 UPDATE

激変! 地方自治体の現実:オープンソースの輝ける未来は地方自治体がスクリプト言語を担ぐこと――OSDL平野氏 (1/2)

OSDLのアジアでの活動を主導する平野正信氏は、Linux、オープンソースが意識変革の時に来ていると話す。同氏にOSDLの最新動向を聞くとともに、日本の地方自治体が抱える問題と、それを解決する施策のヒントを聞いた。

[西尾泰三,ITmedia]

このコンテンツは、オンライン・ムック「激変! 地方自治体の現実」のコンテンツです。関連する記事はこちらで一覧できます。


 「オープンソースの輝ける未来は地方自治体がスクリプト言語を担ぐこと」と話すのは、OSDLのアジア統括ディレクターである平野正信氏。OSDLのアジアでの活動を主導する同氏は、Linux、オープンソースが意識変革の時に来ていると話す。同氏にOSDLの最新動向を聞くとともに、日本の地方自治体が抱える問題と、それを解決する施策のヒントを聞いた。

平野氏 「地方自治体はスクリプト言語を使った産業を速やかに支援すべき」と地域振興の1施策として例示する平野氏

ITmedia OSDLの現在のミッションを教えてください。

平野 大きく分けると2つあります。1つは、2005年10月に立ち上げたMobile Linux Initiative(MLI)のように、新しいバーティカルマーケットを立ち上げそこで活動することです。もう1つは、北米以外のマーケットを開拓することです。

ITmedia オープンソースについて言えば、北米以外のマーケットというのはどのような状況にあると見ていますか。

平野 欧州では政府レベルでオープンソースを導入する動きは数年前からありますし、日本の自治体でもそうしたモチベーションの高まりは感じますが、その根源にはある共通の動機が存在します。つまり、欧米または欧米企業の意図にリードされるのではなく、新しい産業や人材の育成を自らが行いたいという意識がそこにはあるように思います。言わば、国のレベルで町おこしをしようとしているのです。

 すでに成熟したトラディショナルな産業では追従するのが精一杯で、ともすれば欧米の下請けになりがちですが、オープンソースのマーケットというのはまだ横並びでスタートできる部分も残っています。Linuxの世界で言うなら、Linuxディストリビューションはともかく、その上のアプリケーションや開発ツールには手付かずの部分が多く残っているわけです。そういう意味では、欧米企業に先んじてこのマーケットをリードできるかもしれない、といったようにモチベーションを上げやすいでしょうから。その意味では、中国やインドはこの典型的な例と言えるかもしれませんね。

ITmedia 非常に抽象的な話になりますが、Linuxはどこに向かっているのでしょう。

平野 かつてLinuxがMicrosoftの対抗軸として注目され、MicrosoftもLinux陣営をそう見ていた時期は確かにあったかもしれません。しかしMicrosoftは2年ほど前に、本当の敵はいわゆるGoogleのような存在であるのだと認識し始めました。

 これとまったく同じことが現在のLinux、オープンソースにも当てはまる気がしています。いつまでも「Just fot Fun」で本当にいいのかと。もちろんそうした声はありました。少なくとも、Linux以外のオープンソース、つまり、ミドルウェアや開発ツールなどでは、そういった観点だけではなく、より実用的な部分を真剣に考える時期に来ているのではないでしょうか。業界からは、Linux陣営にもそういうところを期待している声が最近多く聞かれます。

ITmedia 何かそれを痛感するような出来事はありましたか。

平野 OSDL内にはLUAC(Linux User Advisory Council)という、ユーザーから見たオープンソースに対する要望や、正しい方向性と問題とのギャップを指摘してもらう組織があります。つい最近、そこに参加したある大企業の幹部は、OSDLのボードに対して、「君たちはLinuxに対して一生懸命取り組んでいるが、わたしが現在興味を持っているのはPHP、さらに言えばZendだ」と述べたことがあります。

 ユーザーからすると、「Linuxカーネルが重要なのは分かった。リーナス氏やアンドリュー氏がOSDLに在籍していることも分かった。しかし、ユーザーの意見も聞いてほしい。わたしたちはLinuxも使っているが、アプリケーションの開発、すなわちPHPや、そのサポートに不満があるのだ」と言っているのです。OSDLにOSのレイヤ以外にも目を向けろと言っているのですね。

 しかし、PHPというキーワードは理解できても、そのとき一瞬PHPをサポートするZend社を知らなかったボードがいたことも事実です。ボードを責めているわけでも、OSDLを責めているわけでもありませんが、問題なのは、Linuxの専門家でさえ、なぜPHPやZendが重要なのかピンとこない人もいるということです。現にそうした活動をOSDLがしていないことがその証左と言えるかもしれません。もちろん予算の問題などはありますが、Linux以外への意識が薄いというところはあるのかもしれません。

 もう1つ、Googleを例に取ってお話しすると、ブラウザを1つのインタフェースと考えるなら、Googleからすれば、OSは何でもよいわけで、OSレベルのバイナリ互換などは必ずしも大事ではないのです。しかし彼らはPythonや100ドルPC、オープンソースへのコミットをメッセージとして発しています。なぜGoogleに言わせ、OSDLなりLinux陣営なりがそうしたメッセージを発しないのは問題だと感じています。

 一方、Microsoftは対Googleへの施策を矢継ぎ早に打ち出しています。オープンソース陣営がこれからも対Microsoftという動きをするなら、それはそれでマーケティング戦略としては面白いのかもしれませんが、ならばなおさらGoogleと協力した方がいいんじゃないかと個人的には思います。

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