ニュース
» 2006年05月25日 17時03分 UPDATE

Skypeが変えるコンタクトセンターの新たな姿

コンタクトセンター向けプラットフォームを提供する米Genesysは米国ラスベガスにおいて同社の年次ユーザーカンファレンス「G-Force 2006」を開催している。今年の見どころは、コンタクトセンターのIP化がより実用的になろうとしていることだ。

[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 コンタクトセンター向けプラットフォームを提供する米Genesysは5月21日から、米国ラスベガスにおいて同社の年次ユーザーカンファレンス「G-Force 2006」を開催している。今年の見どころは、コンタクトセンターのIP化がより実用的になろうとしていることだ。また、「脱コンタクトセンター」というキーワードは、コンタクトセンターが既存の概念から飛び出して、新たなビジネスを形成しようとしていることを示す。

 同社で最新技術の利用を担当するビジネス開発担当バイスプレジデント、ロブ・ワインダー氏と、マーケティングおよびビジネス開発担当バイスプレジデントのニコラス・カチャフスキー氏、インターナショナルプロフェッショナルサービスのゲーリー・ラム氏に話を聞いた。

ITmedia 現在のコンタクトセンター市場を、技術面からどのように見ていますか?

ワインダー 今コンタクトセンター市場では、面白いジレンマが発生しています。従来からある「音声」の分野に、VoIPが出てきているのです。VoIPは既にコンシューマーにも広く利用されているテクノロジーです。米国ではVonage、世界規模ではSkypeがIP電話専門ベンダーとして活躍しています。Skypeのソフトウェアをダウンロードしたユーザー数は2億5000万、さらに、オンラインになっている同時接続ユーザーは、700万人に達することすらあると言われています。

winder.jpg ロブ・ワインダー氏

 わたしは、このようなVoIPのテクノロジーがコンタクトセンターにおける1つの技術的な機会になると考えています。具体的にどういうことかいえば、あるコンシューマーユーザーが取引している証券会社の電話番号を、「よく電話を掛ける相手のリスト」に入れたとします。すると、PC上からダブルクリックするだけで、そのコンタクトセンターに電話を掛けることができるわけです。このような特徴を踏まえると、IP電話がコンタクトセンターにおいて提供される新たなサービスとして、何らかの役割を果たす可能性が強いのです。

 また、IPをベースにしている端末を利用することで、コンシューマーユーザーがその場にいるか、不在かが分かる「プレゼンス」機能を、コンタクトセンターのエージェントが利用することができます。そうすると、エージェントは、ターゲットとなるユーザーの状態を把握した上で、自分から接点を持つことも可能になります。

 Skypeのように、音声機能に加えて、メッセンジャー機能と同様のプレゼンス機能を備えたIP電話の場合、コンタクトセンター側がコンタクトセンターのリアルタイムの状態を見せることも可能になります。例えば、ユーザーが「プラチナメンバー専門のエージェントと話がしたい」と考えたときに、希望するエージェントが対応可能かどうか、順番待ちの列に入った場合はどれくらい待てば話ができるかといった情報を、ユーザーに見せることができるようになるわけです。

ITmedia 今回はコンタクトセンター機能を携帯電話から利用できるようになることが紹介されました。

ワインダー 携帯端末はコンタクトセンターの中で面白い使い方をすることができます。Genesysのコンタクトセンター製品が提供する情報を、携帯端末にプッシュする形で参照することができるわけです。この機能を上手に使えば、エージェントでは対応できないような顧客の問い合わせについて、専門のエンジニアなどの携帯電話に飛ばして対応を依頼することも可能になります。つまり、コンタクトセンターにいなくても、顧客の問い合わせに適切に対応できるわけです。

ゲーリー 携帯電話でコンタクトセンター機能を利用とする動きは、携帯電話が広く普及している日本の方がよりやりやすい状況です。特に、ヘルスケア、フィールドサービス、官公庁の分野で利用すると効果が大きいと考えられます。コンタクトセンターの情報をプッシュできることで、別のアプリケーションを起動するトリガーにもなります。そう考えると、ビジネスを支える情報システムとして新たな展開を創造していくこともできます。

gary.jpg ゲーリー氏

ダイナミックコンタクトセンター

ITmedia もう1つの大きなメッセージとして、「ダイナミックコンタクトセンター」がありました。

カチャフスキー ダイナミックコンタクトセンターとは、コンタクトセンターを構成するすべての要素をエンドツーエンドで参照し、全体最適の視点でセンターを最適化する考え方です。1つ1つのプロセスを参照して、個別に最適化するのではありません。これまではコスト、顧客満足、売り上げ増という3つの要素を同時に満たすことは不可能でしたが、こうすることによって、ゼロサムを脱却し、3つを同時に成立させることも可能になると考えています。

nicolas.jpg カチャフスキー氏

ITmedia さまざまな要素を含めた上で全体最適させるために、IPが技術的な中心になるということでしょうか。

カチャフスキー そうです。IPの環境ではCTIを用いることなく、SIPサーバによって、さまざまな利害関係者のプラットフォームを統一することができるのです。実際に、Genesysでは、リクルートの際に住所を気にせず、全米各地から採用しています。通信環境さえあれば、同一のプラットフォームで仕事ができるからです。

 その意味では、IPを本格的に取り入れ始めたコンタクトセンターも、新たなフェーズを迎えているといえます。重要なのは、コンタクセンターの枠組みというよりは、やり取りそのものです。フランスの格言に「王様は死んだが王国は残った」という言葉があります。それと同様に、「コンタクトセンターの姿は変わったが情報のやり取りは残った」という時代が来るかも知れません。

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ