コンタクトセンター向けソフトウェア大手のGenesysは5月24日から2日間にわたり、最新の取り組みやユーザー事例について紹介する「G-Force 2005」を、米マイアミで開催した。1つの目玉になったのが、マイクロソフトの「Live Communications Server シリーズ」と連動し、インターネットメッセージングによる音声通話をするためのプラットフォームであるGETS(Genesys Enterprise Telephony Software)を大企業向けに提供すること。4月29日に発売され、マイクロソフトが最初のユーザーとなった。
簡単に言えば、「電話も使えるインターネットメッセージング」となる。登録したユーザーならば、メッセンジャーの要領で在席を確認でき、さらに、クリックすればそのまま電話の要領で通話することも可能だ。
当然、企業の枠を越えたとしても、インターネットにつながってさえいれば、だれとでも、地球の裏側であっても話をすることができる。企業がこれを「体系的に」活用できるかがポイントになる。個人ではなく、それぞれの導入企業が組織的に利用した場合の「情報共有力」をどのように描けるのか、イマジネーションの問題かもしれない。
すでに、米Microsoftの社員5万人が利用し、「I love this product」「この10年で最もCoolな製品」など、最初のフィードバックでは「overwhelmingly positive(圧倒的に良い)」だという。また、ビル・ゲイツ氏自身もユーザーとなっており、「コンピュータと電話がよりよい共存をしている」とコメントしているという。
米国ではすでに、日本よりもインターネットメッセージング(IM)のビジネス利用は浸透している。両社の協業体制、および良好な使用感を示すマイクロソフトの5万人のユーザーが1つの起爆剤となり、IMによる通話という新たな常識にまで発展する可能性もある。
協業で中心となる製品は、MicrosoftのOffice Live Communications Server シリーズと、GenesysのGETSだ。Live Communications Serverシリーズは、組織レベルのリアルタイムコミュニケーションを提供するソフトウェア。SIP (Session Initiation Protocol)などの標準にも対応し、プレゼンス(在席確認)、IMなどを提供する。
一方、GETSは、その下のインフラとして、既存のPBXや次世代型のIPネットワークのどちらにおいても、電話とコンピュータ間の統合管理を可能にするための製品。また、PBXやIPテレフォニーとGETSを組み合わせることにより、既存の通信インフラで必要になる電話機の移設作業なども実施しなくて済むため、オフィスレイアウトの変更にも手間やコストがかからない。また、MSN、Yahoo、AOLなど、主要なメッセンジャーすべてに対応し、クロスで利用することも可能だ。
問題を挙げるとすれば、「ポートをどのように空けるか」などのセキュリティに関する事柄が挙げられる。フレイザー氏は、「IM側についてはLive Communications Serverが機能を組み込んでいる。電話側では、歴史的にセキュリティへの取り組みがなされている」と話すものの、導入の際のシステム設計では注意を要することになる。
Skypeについてフレイザー氏は、「Skypeは素晴らしい。だが、大企業で利用するには、まだセキュリティ問題をはじめいろいろな障害がある。トヨタやホンダなどの日本の大企業、欧州、米国の企業はPBXやCTIを活用した複雑な電話プラットフォームを活用しており、Skype単体では技術的に対応が厳しい面も大きい。ただし、オープンスタンダードに対応しているため、Genesysとしては、Skypeと連動したシステムを組むことも問題なくできる」と話している。
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