IEとVistaのクレームに「懸念は不要」――司法をめぐる最新動向(1/2 ページ)

Microsoftはニューヨーク州のほか、カリフォルニア州の幾つかの地方自治体との独禁法訴訟で和解に達した。また、司法省はIEに対するGoogleの申し立てに関する調査を退けている。そのほかにも、特許をめぐる訴訟について幾つか判決が下された。

» 2006年06月02日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 米Microsoftと米司法省(DoJ)との和解条件では、Microsoftは競合他社とパートナー企業に技術文書を提供することになっている。この条項の適用期間が2年間延長され、期限が2009年となった。一方、司法省はInternet Explorer(IE)の検索機能に関するGoogleの苦情については、追求を辞退している。さらに、Microsoftは2件の独禁法訴訟で和解を成立させた。特許をめぐる訴訟も継続中だ。

 Microsoftを取り巻く法的な状況は以下のように進展している。

司法省との和解の最新状況

 司法省による要請を受けて、Microsoftは通信プロトコルライセンスプログラム「Microsoft Communication Protocol Program(MCPP)」の提供期間を2009年まで延長することに同意した。MCPPは、2002年11月に司法省との間で成立した独禁法訴訟の和解条件の一環であり、WindowsクライアントPCがWindowsベースとの通信に使用するプロトコルのライセンスを提供するためのもの。司法省は独禁法訴訟担当判事に2006年5月に提出したステータスレポートにおいて、Microsoftの文書は幾つか不十分なものがあり、「新しいアプローチ」が必要だと指摘している。MicrosoftはMCPPの提供期間の延長には同意したものの、同プログラムには既に31社が参加しており、対象となるプロトコルは十数種類以上のリリース製品に採用されていると主張している。そのほかの和解条件(大手20社のOEMに対してWindowsの価格を均一とするなど)については、当初の予定どおり、2007年11月の期限切れが予定されている。

 また司法省は同じステータスレポートにおいて、「MicrosoftがWindowsの独占状態を利用してインターネット検索分野で自社の立場を強化した」とするGoogleの申し立てに関する調査を断っている。Googleは、MicrosoftのWebブラウザ「Internet Explorer(IE)7」(現在βテスト中で、Windows Vistaに組み込まれる予定)には、Microsoftのインターネット検索エンジンを自動的にデフォルト設定とするようなインターネット検索ボックスが含まれている、と訴えている。だが司法省は、IE7では、OEMや顧客がデフォルトとして設定した検索エンジンが尊重され、設定の変更も容易だとして、「懸念は不要」との判断を下している。

 さらに司法省は、Vistaの初期起動時の動作に関してOEM各社から指摘されていた苦情について、問題は解決したと指摘している。どうやらMicrosoftの譲歩により、OEM各社は初期起動時の動作をもっと柔軟にコントロールできるようになるもようだ。OEMは初期起動時の動作を、製品/サービス(通常はパートナー企業からのもの)の促進や競合他社のPCとの差別化に利用する場合が多い。

独禁法訴訟の和解

 「Microsoft製品を不当に高い価格で買わされた」として起こされていた2件の独禁法違反の集団訴訟で和解が成立した。1つは、ニューヨーク州の消費者によるもの。もう1つは、カリフォルニア州の幾つかの地方自治体によって起こされていたものだ。不当請求をめぐるこれまで10件以上の同様の集団訴訟の場合と同様、Microsoftはベンダー各社からのハードウェア/ソフトウェアの購入に利用できるクーポン券を発行する。金額は、顧客が一定期間に購入したMicrosoftソフトウェアの量によって決まる。

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