データセンターの消費電力に関する調査の実施を米国環境保護庁に求める法案が下院で採決される見込みだ。業界各社および環境保護団体などから広範な支持を得ているこの法案がどのような意味を持つのだろうか。
米国議会が、連邦政府機関ならびに民間企業のデータセンターのエネルギー効率の問題に取り組もうとしている。
下院では7月12日、データセンターの消費電力に関する調査の実施を米国環境保護庁(EPA)に求める法案を採決する。この調査には、チップメーカーおよびシステムメーカー各社でのエネルギー効率改善に向けた取り組みや、エネルギー効率に優れたデータセンター技術の普及促進に向けたインセンティブに関する内容なども含まれる。
この下院第5646号議案をマイケル・ロジャーズ下院議員(ミシガン州出身共和党)と共同で提出したアンナ・エッシュー下院議員(カリフォルニア州選出民主党)によると、同法案は7月11日に下院で審議が行われたという。下院で法案が可決されれば、上院に送付される。
エッシュー氏によると、7月11日の審議では法案に反対する意見はほとんどなく、下院ではすんなりと可決される見通しだとしている。
「わが国の経済の原動力は2つある。1つは技術、そしてもう1つはエネルギーである。この法案は両者の結合だと考えている」とエッシュー氏は語る。同氏とロジャーズ氏は下院エネルギー・商業委員会のメンバーである。
エッシュー氏の推定によると、米国内のデータセンターの稼働に費やされる電力コストは年間約33億ドルであり、この数字は今後急速に増加するものと同氏は予想している。
この法案では、EPAのEnergy Starプログラムを通じて調査を実施し、90日以内に報告書を議会に提出するよう求めている。エッシュー氏ならびにAMDの政府関係マネジャーのスティーブ・ケスター氏によると、この法案は共和党議員と民主党議員を含む関係者に加え、業界各社ならびに環境保護団体などから広範な支持を得ているという。
法案に関する下院での議論に参加したケスター氏は、「これは実に分かりやすい問題であり、法案は広く支持されている」と話している。
「われわれは、この極めて重要な問題に対処する必要がある。そのメリットとは、最終的に、業界、政府そして家庭でコンピュータを利用するコンシューマーを含む全員にとって、お金の節約になるということだ」(ケスター氏)
ケスター氏によると、この法案はエネルギーの供給サイドではなく需要サイドから問題に対処しようという取り組みの第一歩となるものであり、新たなエネルギーソースを見つけ出すとともに、エネルギー効率に優れた製品の開発が求められている。EPAでは現在、こういった製品の利用状況ならびにその普及を促進する方法を模索している。
「エネルギー効率と節約は、新たな供給源を見つけるのと同じくらい重要だ」と同氏は話す。
この法案で取り組もうとしている問題については、IT業界でも懸念が高まりつつある。データセンターのオペレーターは、プロセッサの消費電力の増大、サーバ密度の増加、電力コストの上昇などの要因によってエネルギーコストが急上昇しているのを目の当たりにしている。最新のシステムから発生する熱も、施設の冷却のための出費の増加を企業に強いている。
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