絶好調のWindowsクライアント部門と収益を圧迫するXbox／MSN（1/3 ページ）

Microsoftの2006年度第4四半期は、複数年ライセンス契約の好調な販売により、前受収益が大幅に拡大した。その一方で、ホーム＆エンターテイメント部門およびMSN部門の経費が、堅調な収益を圧迫することになった。

[Matt Rosoff，Directions on Microsoft]

　2006年度第4四半期（2006年6月30日期末）の売上は、複数年のライセンス契約の新規販売と更新が好調なことと、予想を上回るPCの売れ行きが追い風となり、ここ2年間で最高の前年度同四半期比16％の収益成長を達成した。営業利益（通常の業務から得る収入から事業を行うための経常的な経費を差し引いたもの）も、前年比30％増の38億8000万ドルを記録している（ただし、純益は前年同四半期の税率が異常に低かったことから、減少している）。Microsoftはまた、最高で200億ドル相当の株式をさらに買い戻す計画のほか、2007年度の詳細な経費予想を公表している。

コアビジネスは堅調、一部部門では経費拡大で赤字に

　7つあるMicrosoftの事業部門はすべて、前四半期に発表されていた収益予想と同じかそれを上回る収益を上げているが、ホーム＆エンターテイメント部門およびMSN部門では、大幅な経費拡大が影響して、予想を上回る赤字となった。

　2007年度（2006年7月1日期首）からは、Microsoftの決算報告の事業部構成が変わり、7事業部ではなく5事業部での決算となる。

Windowsクライアント部門
　Microsoftの成長の旗頭である同社最大の事業部門である同部門は、予想を大幅に上回り、前年度同四半期比で12％増収の33億8000万ドルを達成した。これは、特にコンシューマー向けのPCの販売が予想よりも好調だったためである。また、Windowsの委託販売および小売販売も（OEM販売とは対照的に）6％の増収となり、前年比成長率としては2005年度第1四半期以来の伸びを見せた。Microsoftはこの成長の理由を明らかにしていないが、おそらく2006年後半にVistaの企業ユーザー向けのリリースが控えていることを踏まえ、既存のWindowsデスクトップを対象に複数年のライセンス契約を購入している企業が増えているのだろう。

サーバ＆ツール部門
　サーバ＆ツール部門は31億8000万ドルと、インフォメーションワーカー部門を抑えて第2位の収益を上げている。同部門では、引き続きSQL Serverの販売が好調で、前年比35％の伸びを記録している。サーバ＆ツール部門全体の今期の前受収益は37億9000万ドルで、第3四半期と比べて25％もの大幅な増収となり、過去最高の伸びを見せた。これは、アップグレード権が得られる複数年ライセンス契約の新規販売と契約更新が好調であることを示している（Microsoftでは、複数年ライセンス契約の料金が支払われると、まずこれを前受け収益として記録し、その契約の履行対象となる期にこれを按分して計上する）。

Microsoftの過去5四半期の財務状況

	2006年第4四半期 2006年4〜7月	2006年第3四半期 2006年1〜3月	2006年第2四半期 2005年10〜12月	2006年第1四半期 2005年7〜9月	2005年第4四半期 2005年4〜6月
売上高	$11.80	$10.90	$11.84	$9.74	$10.16
純益	$2.83	$2.98	$3.65	$3.14	$3.70
営業利益*1	$3.88	$3.89	$4.66	$4.05	$2.99
1株当たり利益（ドル）	$0.28	$0.29	$0.34	$0.29	$0.34
株式数（10億株）	10.26	10.42	10.64	10.77	10.82
純益（対売上比率）	24.0％	27.3％	30.9％	32.2％	36.4％
売上原価（対売上比率）	18.0％	18.6％	18.9％	12.9％	13.9％
研究開発費（対売上比率）	15.8％	14.8％	13.4％	15.6％	16.6％
販売費（対売上比率）	23.9％	21.7％	22.7％	20.0％	27.2％
一般管理費（対売上比率）	9.4％	9.2％	5.6％	10.1％	12.8％
現金	$34.2	$34.8	$34.7	$40.1	$37.8
前受収益	$10.90	$8.90	$8.83	$8.81	$9.17

単位：特記以外10億ドル
*1 営業利益は、通常の業務から得る収入から事業を行うための経常的な経費を差し引いたもの。純利益とは異なり、投資による損益や税金は含まない。ただし、訴訟和解費用は含んでいる。