絶好調のWindowsクライアント部門と収益を圧迫するXbox/MSN(2/3 ページ)

» 2006年08月02日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

インフォメーションワーカー部門
 前年度同四半期比で6%増の31億3000万ドルで、ここ数四半期と同程度の成長率を維持している。ただし、同部門全体の前受収益は第3四半期と比べて39%増収の36億1000万ドルを達成しており、企業ユーザーが2006年後半に予定されているOffice 2007のリリースをにらみ、複数年ライセンス契約を購入していることが伺われる。

MSN部門
 今期収益は5億8000万ドルで、前年度同四半期と比べて3%の減収となった。これは、MSNサーチの検索連動型広告プラットフォームのadCenterが、Yahoo!のOverture広告プラットフォームからの移行後に、Overtureによる収入分を充当できるほど広告主を確保できていないためである。また、損失も2006年第3四半期の2600万ドルから1億9000万ドルに膨れ上がり、1億100万ドルの黒字を記録した1年前の2005年第4四半期とは正反対の結果となった。これは、MicrosoftではGoogleに対抗すべくコンシューマー向けのオンラインサービスの刷新を進めているが、新しいサービスWindows Liveへの投資の拡大を反映している。同社の最高財務責任者(CFO)Chris Liddell氏は、2007年度下半期には再び増収に転じると予測しているが、黒字化は2008年度以降になるであろうことを認めている。

ホーム&エンターテイメント部門
 予想どおり前年度同四半期と比べて94%の増収となり、114億ドルの収益を上げたが、Xbox 360コンソールの販売台数が前年同期の初代Xboxコンソールの販売台数を上回ったため、損失が4億1400万ドルと倍以上に膨れ上がっている(Microsoftでは、コンソールを1台販売するごとに赤字になるが、ゲームタイトルや周辺機器、Xbox Liveのサブスクリプションにより利益を上げようとするビジネスモデルを採用している)。現在のXbox 360全体の収益は、予想どおり500万ドルである。

Microsoftビジネスソリューション部門およびモバイル&組み込みデバイス部門
 Microsoftで最も規模が小さいこれらの部門は、今期いずれも予想を上回る収益を上げた。Microsoft ビジネスソリューション(MBS)部門は、前年度同四半期比16%の増収で2億8000万ドルを達成し、同部門としては歴代2位の収益を記録している。モバイル&組み込みデバイス部門は、前年度同四半期比41%の増収で1億1300万ドルの収益を上げ、5四半期連続で40%以上の前年同期比成長率を記録している。また両部門とも、年度を通じての黒字を初めて達成した。

前受収益の拡大と株式買い戻しを続行

 2006年度第4四半期の前受収益は、第1四半期の30億3000万ドル、第2、3四半期の36億7000万ドルから飛躍的に伸び、60億8000万ドルとなった。これにより、第3四半期は89億ドルだったMicrosoftの前受収益の合計は、第4四半期では109億ドルに拡大した。この前受収益における急増分のほとんどは、ボリュームライセンス契約によるものだ。特に、大規模企業によるエンタープライズアグリーメントの更新が活発なことが影響している。この前受収益は按分して実現収益に転換されるため、2007年度全体の業績見通しは明るいと言える。

 またMicrosoftは、いわゆる逆競り(ダッチオークション)方式により、今後2ヶ月で200億ドル相当の株式を買い戻す計画を発表している。これは、2004年8月のGoogleの株式初公開時に使われた方式と同じである。現在の株主は、8月17日までに22ドル50セント〜24ドル75セントの間で1株当たりの売り希望価格と、その価格でMicrosoftの買い戻しに応じる株数を回答して入札することになる。入札者は、入札価格を下回る価格で売買に応じるよう強制されることはないが、入札価格を上回る価格が提示される可能性がある。Microsoftは入札状況を勘案して、8億808万808株を買い戻すことができる範囲で、可能な限り低い買い戻し価格を設定する。株主には、7月24日付でこの買い戻しプランの詳細が郵送される。

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