「オシム監督」で比べてみよう――Googleのモヤモヤ感を解消する?

米国のピッツバーグに本拠を置く米Vivisimoが開発する「Vivisimo Velocity 5」は、実際には、Googleというよりも、企業内の膨大な文書を的確に検索するエンタープライズサーチ製品としての色が濃い。

» 2006年08月09日 16時52分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 今や検索エンジンとして押しも押されもせぬ存在になったのがGoogleだ。しかし、Googleで調べ物をしていて、検索結果が引き出された根拠が明確でないことに、心もとなさを感じるユーザーも多いのではないだろうか。

 本日、サッカーの日本代表が東京・国立競技場にて、ドイツワールドカップ後初の試合に挑む。そこで、Googleで「オシム監督」を検索してみる。ヒット数は130万件、検索結果ページは実に78ページに及んだ。実際に、最後の78ページ目を閲覧するユーザーはまれだろう。せいぜい、最初の3ページくらいまでを見るのが精一杯だ。

 すなわち、Googleでの検索には、「何がヒットするかはGoogleのみが知る」というユーザービリティがついて回る。時に、そのブラックボックスぶりを揶揄して「グーグル様」などと呼ぶユーザーもいるほどだ。

 そうした問題を解決するべく、検索結果の閲覧性とユーザーインタフェースにこだわった新たな検索エンジンが米国で開発された。それが米国のピッツバーグに本拠を置く米Vivisimoだ。同社が開発する「Vivisimo Velocity 5」は、実際には、Googleというよりも、企業内の膨大な文書を的確に検索するエンタープライズサーチ製品としての色が濃い。

 Vivisimo Velocity 5の最大の特徴は、検索結果のクラスターリング機能だ。これは、検索ワードに関する膨大な検索結果を、関連キーワードなどとひも付けて分類して表示するもの。下図は、Vivisimo Velocity 5の公開デモ画面で「オシム監督」を検索した結果を示したものとなっている。

「オシム監督」での検索結果

 結果から分かるとおり、オシム監督に絡めて、「川淵、三郎」「代表監督就任」「blog」「言葉」「オシムジャパン」などに分類され、細分化された検索結果が提示されている。

 通常の検索エンジンでは、テキストベースでインデキシングが行われるため、例えば、内容が現象でも原因でも対策でも同じ検索対象として扱われてしまう。一方、Vivisimo Velocity 5では、あらかじめWebページの構造を登録することによって、各コンテンツ単位にインデキシングすることができる。PCに関する話なら、「ファンの音の異常」「発熱」といった現象、「ほこり」「水滴」といった原因などに分けて、検索結果を整理することができる。

 特に、膨大な社内文書を抱える製造業のユーザーが、より的確に文書を検索する際などに最適な検索結果を提供できるという。開発を担当する米Vivisimoの営業担当副社長、ジョセフ・レバス氏は、「Vivisimoは2000年にカーネギーメロン大学で誕生した。業種を問わず、今後アグレッシブなビジネス展開を考えている」と話す。現在の開発者は20名前後。全社員合わせて50名程度だが、将来的には株式上場も視野に入れているという。

ジョセフ・レバス氏

 米国では既に、社内ポータルとしてP&G、Cisco Systems、Johnson & Johnson、Airbusが、自社のWebサイト向けにDiscovery.comなどが採用している。日本では、グループネットが販売代理店となる。年間ライセンスは370万円からとなる。

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