奪えないiPod/iTMSの市場シェア、Zuneの突破口はどこに?(1/3 ページ)

Microsoftはデジタルメディア製品/サービスの新ブランド「Zune」を立ち上げる。Zuneの第1弾となる携帯オーディオ/ビデオプレーヤーとオンラインストアが2006年中に登場する予定だ。

» 2006年08月10日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 Microsoftはデジタルメディアパートナーとたもとを分かち、「Zune」のブランド名で一連のデジタルメディアデバイスと関連オンラインサービスを製造、提供する。Zuneの第1弾として、AppleのiPodとiTunes Music Store(iTMS)に対抗する携帯オーディオ/ビデオプレーヤーとオンラインストアが2006年のクリスマス商戦に登場する予定だ。

 この動きは、Appleの優位が続き、Windows Mediaプラットフォームの脅威となっていることが背景にあり、戦略市場を明け渡さないためにハードウェアを製造していこうというMicrosoftの新たな意欲の表れだ。

強固なAppleの優位性

 iPodはそのスタイルと使いやすさから、ここ10年でも指折りの人気家電となり、デジタル音楽プレーヤー市場で一貫して75%程度のシェアを獲得している。これまでに10億曲以上を販売し、合法的な音楽ダウンロード市場で約70%のシェアを占めるiTMSの人気が、Appleの優位をさらに強固なものにしている。iTMSで購入されたコンテンツはほかのデバイスでは再生できないからだ。

 MicrosoftはWindows MediaプラットフォームでAppleに対抗するため、以下のようにさまざまな手を打ってきた。

  • 携帯デバイスの製造パートナーの獲得(Creative、iRiver、Rio、Samsungや、製造期間は短かったがDellなど)
  • Windowsにほぼ例外なくバンドルされているWindows Media Playerでのオンラインストアのプロモーション(つい最近の例ではMTVのURGEサービス)
  • 携帯オーディオ/ビデオプレーヤー(Portable Media Center)のリファレンスデザインの開発。パートナーは、AppleがiPodでビデオをサポートする1年以上前に、これに沿ったプレーヤーを出荷開始していた
  • 相互に互換性のあるWindows Mediaコンテンツおよびデバイスを対象としたロゴプログラム「PlaysForSure」の創設

 だが、これらの施策を講じても、Appleの市場シェアを奪うことはできなかった。Appleの優位が続けば、Microsoftのホームエンターテインメント戦略全体が崩れる恐れがある。この戦略は、Windows PCとMicrosoftのソフトウェアが稼働するそのほかのデバイスを、オーディオ/ビデオコンテンツを作成、保存、編集、再生するための最高のツールとして推進するものだ。

これまでに分かっているZuneの概要

 MicrosoftがZuneの存在を認めたのは、メディアやブログに観測記事が飛び交うようになって数週間後のことだった。こうした記事の情報源は、エンターテインメント業界の幹部たちだったと見られる。Microsoftは2006年に入ってからこれまでに、Zune向けのコンテンツ提供の説得に向けて彼らに計画を説明している。

 MicrosoftはWindows Mediaハードウェアパートナーの協力をできるだけ長く確保しておくために、Zuneに関する公表を遅らせようとしていたのかもしれない。Zuneが登場すれば、こうしたパートナーはAppleだけでなく、自社製品のソフトウェアプラットフォームの提供元とも競合することになる。また、公表を遅らせれば、Appleが、Zuneで計画されている機能に追随したり、それらを凌駕するのを防げるという計算もあったかもしれない。

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