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» 2006年09月01日 07時00分 UPDATE

Beginner's Guide:GPLにまつわる10個の誤解 (1/3)

GPLは最も広範囲に用いられているソフトウェアライセンスの1つだが、同時に最も誤解されている規約であることも間違いがないだろう。ここでは世間にはびこるGPLについての10個の誤解を取り上げよう。あなたの認識に間違いはない?

[Bruce-Byfield,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 GNU General Public License(GPL)は最も広範囲に用いられているソフトウェアライセンスの1つだが、同時に最も誤解されている規約であることも間違いがないだろう。こうした誤解の中には、反対派によるプロパガンダ活動に起因している部分もあるが、法律の専門家および素人の双方においてライセンス関連の条項に触れる機会が少ないこともそうした原因の一部であり、またエンドユーザー用のライセンス条項として通常用いられている文言とGPLの条文とが混同されているという側面も存在しているようだ。いずれにせよ、こうした混乱を生み出している主要な原因は、条文の誤読、世間に流布しているうわさ、受け売り的な条項の流用、そして一方的な思いこみだと見ていいだろう。

 今回NewsForgeは、実際どのような誤解がはびこっているかを確認するに当たり、Software Freedom Law Centerの弁護士で同ライセンス第3版の主要起草者の1人であるリチャード・フォンタナ氏、Software Foundationの元コンプライアンスエンジニアであり同ライセンス改訂作業の補佐を務めるデビッド・ターナー氏、規約違反者を特定してその解決をサポートするGPL-Violationsプロジェクトのハラルド・ウェルテ氏という3名の専門家の見解を求めた。以下は、これらの専門家の意見を総合してまとめたGPLにまつわる主立った誤解であるが、その中には一方的な拡大解釈に基づくものもあれば、それなりの妥当性を持つ見解上の相違というものも存在している。

1. GPLにはウイルス的性質がある

 GPLライセンス下にあるソフトウェアと関係を持ったすべてのソフトウェアは自動的にGPLが適用されるという誤解が存在するが、これはMicrosoftの上級副社長を務めるクレイグ・マンディ氏が2001年3月にNew York University Stern School of Businessで行った講演がその発生源であると思われる。ターナー氏の説明によると、この一件以降、GPLソフトウェアをインストールするだけで、そのコンピュータ上に存在するそのほかのソフトウェアもGPLライセンス下に置かれると、多くの人間が信じ込むようになったらしい。また極端なケースとなると、こうした誤解に起因して、社内におけるあらゆるGPLソフトウェアの使用を禁止している企業も幾つか存在していると、ターナー氏は語っている。

 こうした誤解の大元になっているのは、おそらく現行のGPLのセクション2にある、GPLソフトウェアの改変版に対してもGPLライセンスが適用されるとした規約であろう。最もこのセクションでは、特定のプログラムが「それら自身別の独立した著作物であると合理的に考えられるならば」GPLは適用されないことおよび、保存先についても「一巻の保管装置ないし頒布媒体に収めても、そのほかの著作物までこの契約書が保護する対象になるということにはならない」と明示されている。なおフォンタナ氏が指摘しているように、派生著作物の定義についてはより明確化する余地が残されており、その点は同ライセンスの第3版で改められるべきであるが、一般的な原則については誤解の余地はないだろう。

2. GPLに強制力はない

 GPLにはウイルス的性質があるという誤解の対極にあるのが、GPLに強制力はないというもので、ターナー氏の言葉を借りると「連中はヒッピーの集団にすぎない。そんな人間のやることにわれわれを従わせる強制力がある訳がない」ということになるそうである。ターナー氏の意見によると、違反行為を無条件に弁護士や法廷に処断させるのではなく、違反者に対してはライセンスへの準拠を求めようとするFree Software Foundationの活動方針も、こうした誤解を生んでいる土壌の一部となっているとのことだ。ただしこうした方針については、どのような違反者も裁判に訴えるよりライセンスに準拠する方を好むという事実があるため、逆に言えば同ライセンスには強制力があると信じられていることを示す強力な証拠とも見なせるだろう。より重要なのは、少数の事例ではあるが、GPLに関する訴訟が行われたドイツにおけるウェルテ氏対SitecomおよびDrew Technologies, Inc.対Society of Automotive Engineers, Inc.などで、これらのケースでは直接ないし間接的にライセンスの有効性が認められている。

3. GPLソフトウェアに対しては課金できない

 GPLの冒頭には「わたしたちがフリーソフトウェアというとき、それは利用の自由について言及しているのであって、価格は問題にしていません」という記述がある。Free Software Foundationによる、同ホームページなどでの度重なるコメントにもかかわらず、フリーソフトウェアコミュニティーの中においても、GPLソフトウェアに対する課金は違法行為になると誤解している者がいる。それが間違いであることは、Red HatやNovellなど多数の企業がフリーソフトウェアに対する課金活動を行っていることからも明らかである。

 GPLで課金行為に言及している個所はセクション1の「あなたは、物理的に複製物を譲渡するという行為に関して手数料を課しても良いし、希望によっては手数料を取って交換における保護の保証を提供しても良い」および、セクション3bにおけるソースコード頒布についての「頒布に要する物理的コストを上回らない程度の手数料と引き換えに提供する」という部分だけである。

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