DellからLenovoへ、5人目の引き抜き

Dellの幹部の引き抜きは、中国に本拠を置いていたLenovoの伝統とIBMのPC部門買収で取り込んだ新しい文化の間の橋渡しをしようとする取り組みの一環だとアナリストは語る。

» 2006年09月01日 16時27分 公開
[eWEEK]
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 世界第3位のPCメーカーとして勢力拡大を目指すLenovo Groupが、ライバルのDellから幹部を引き抜いた(関連記事参照)。1年足らずのうちにこれで5人目だ。

 Lenovoは8月31日、ジェリー・スミス氏(43)をグローバルサプライチェーン部門の上級副社長に任命した。同氏はウィリアム・アメリオCEOに直接報告義務を負い、シンガポールに勤務すると発表文には記されている。

 スミス氏は1994年にDellに入社し、シンガポールのデザインセンターとディスプレイ部門を統括していた。同氏はすぐにLenovoで新たな仕事を始めるという。

 スミス氏は、過去1年間グローバルサプライチェーン部門を率いてきたリウ・ジュン氏に代わることになる。ジュン氏はリーダー研修目的で1年間のサバティカル休暇を取ると同社は説明している。

 スミス氏は、Lenovoのサプライチェーン管理の改善にフォーカスする。「ジェリーはPCおよび周辺機器のサプライチェーン管理の経験を持つ幹部で、Lenovoが現在改善の対象としている分野、特にサービサビリティとコスト削減において確固たる実績を持つ」とアメリオ氏は発表文で述べている。

 アメリオ氏は2005年12月にLenovoに入社する前に、Dellのアジア事業を率いていた。2005年12月21日にLenovoのCEOに任命されて以来、同氏はほかに3人のDell幹部をLenovoのアジア太平洋事業のさまざまなポストに引き抜いている。立て続けの引き抜きは、ニューヨークに本拠を置くLenovoが事業を強化し、競争の激しいPC市場で戦うために幹部をそろえるべく取り組んでいることを示唆している。

 市場調査会社Endpoint Technologies Associatesの社長ロジャー・L・ケイ氏は、Dell幹部のLenovoへの引き抜きは、中国に本拠を置いていたLenovoの伝統と、IBMのPC部門買収で取り込んだ新しい文化の間の橋渡しをしようとするアメリオ氏の取り組みの一環だと語る。

 アメリオ氏は、Lenovoは上昇中の企業であり、キャリアを伸ばし、影響力を高める機会がDellよりも多いと、Dellの元同僚を説得できたとケイ氏は言う。

 「Lenovoの良いところは、今よりも未来にもっと多くものがあるところだ」(ケイ氏)

 アメリオ氏がIBMとの統合以来残っている問題に取り組み続ける一方で、Lenovoは今後もPC市場での地位を高めていくだろうとケイ氏は言う。同氏は、Lenovoが販売を続けているThinkPadと、同社が積極的に中小企業に売り込んでいる新しいデスクトップ・ノートPCライン「Lenovo 3000」を挙げている。同氏はまた、Lenovoが2008年の北京オリンピックのスポンサーシップから恩恵を得られるだろうとも話している。

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